ホスタ
(1) パーフェクトプランツ
ユリ科ギボウシ属は、欧米ではその学名から「Hosta」の名で親しまれ、花も葉も美しく、丈夫な上に、病害虫の心配も少なく、手間いらずということでパーフェクトプランツなどと呼ばれ、大変な人気がある。
実はこの植物、日本を始め中国、朝鮮半島、サハリンに自生する東アジアの特産植物であり、特に日本にはその主要な原種が自生している。まさに日本を代表する植物である。
「擬宝珠(ぎぼうし)」の名は、変わり葉を自然の中から選抜して楽しみはじめた江戸時代中期頃につけられたもの。
最近になりようやく、日本でもこの植物の良さが認められ始めている。
(2)日本における栽培の歴史
日本における観賞の始まりは、平安時代にさかのぼり、京の庭園に植えられたのが始まりとされ、江戸時代中頃より、鉢植えに向く小型の斑入り種などが栽培されるようになった。
しかし、日本各地には、観賞用の他、食用として栽培されてきた大株となる品種も多く、こうした品種の内、斑入りなどで観賞価値が高く、強健な品種が現在でも残っており栽培されている。
例えば、大型の斑入り品種として現在でも有名な「サガエギボウシ」は、山形県寒河江市の民家にあった食用などの品種とともに植えられていた突然変異と思われる1株が園芸関係者の間で評判となり、「サガエギボウシ」と呼ばれるようになったものだという。
ちなみに、この「サガエギボウシ」は、ガーデン用として海外での評価も高まっており、今年のアメリカホスタ協会のセレクションにも入賞を果たしたという。
オオバギボウシ:群馬大学「青木繁伸さん」のホームページから
(3)海外における育種
日本のギボウシの海外への紹介は、1830年、シーボルトにより、オランダの植物園に導入されたのが最初である。その後、アメリカで話題となり、盛んに育種が行われるようになった。
30年程前にはアメリカギボウシ協会が発足し、分類や育種に大きな成果をあげ、現在、アメリカでは、1000以上の品種が登録され、毎年、新品種が育成されている。
(4)静岡県とホスタ
日本における本格的な育種は、昭和45年頃からと言われる。
交配育種では、御殿場市で農園を経営する渡辺健二さんが多くの品種を育成している。氏は、富士山麓における自生種や全国の品種を収集し、改良に取り組む、日本のギボウシ研究家の第一人者であり、アメリカホスタ協会で最も有名な日本人である。
また、掛川市にある加茂花菖蒲園にもコレクションがあり、通信販売なども行っている。
(4)これからのホスタ
現在日本で流通するギボウシには、二つの流れがある。
一つは、国内の生産者により株分けで増殖し販売されているもので、株分けでは大量増殖できないために市場流通される量は少なく、主に山野草業者などにより流通するもの。また一つは、海外で育成され、恐らく組織培養などにより大量に増殖され、日本に苗で導入されているもので、ガーデン素材として販売されるものである。しかし、市場流通はまだ少なく、どちらかといえば通信販売などでマニア向けに販売されている品種などが多い。
また、中国や朝鮮半島にも、芳香性があるなど、花を観賞するギボウシもある。
ホスタが日本の庭に適することは言うまでもないが、日本の誇るべき植物であり、しかむ世界のガーデニングに貢献している植物なのである。
わが国には、日本やアジアの原種や世界の最新品種などを収集し、世界に向けて情報を発信していく義務があると思う。そして、もっと多くの品種が流通しなくては寂しいと思う。
<参考文献>
・「富士山の植物たち」(渡辺健二、1993)
・「絵で見る伝統園芸植物と文化」(柏岡精三、荻巣樹徳、1997)
・「THE GARDEN 1998,5」(RHSJ会報,1998)
・「ビズ NO,39」(1998.秋)