うちにはマルチーズ犬、日本猫がおり、最近までセキセイインコもいた。
いま思うと猫と鳥を同時に飼うのは無謀だった気もする。猫と犬もどうか。
しかしそのインコがいなくなり、寂しさにもなれ、つぎはウズラかウサギでも飼おうか、
などと考えているが、それとは別に昔から飼ってみたいと思い続けている鳥がいる。
ペンギンである。

以前、夕方の地域密着型ワイドショーでペンギンの散歩というのをやっていた。
小遣いの入った巾着を首にぶらさげたペンギンが、1人で歩いて魚屋さんへ行き、
イワシをもらって帰るというものだった。うちへ帰ると小さなプールがあって、
満足そうに泳ぐペンギン。
かれは漁の網にたまたま引っかかってしまったのところを、心優しい漁師が連れ帰って
飼っているものなのだそうである。

そのペンギンの歩くさまのとりこになった私は、さっそくペンギンを飼うための
シミュレーションをしてみた。
まずペンギン本体。件のペンギンは無料だが、実際ペンギンを手に入れるには
お金を払って購入しなくてはならないだろう。
種類にもよるが、動物園の話によると1頭あたり100〜450万円が相場だという。
イワトビ、フンボルト、コウテイなどメジャーな種はやはり高いようだ。

身長70センチ、体重3キロのケープペンギンはペットショップでも80万程度で手にはいるが、
私が欲しいのは身長120センチ、体重10キロのコウテイペンギンだ。
なぜなら、顔の横の黄色い印が愛らしいからだ。しかしインターネットで探しても売ってない。
そもそも取引禁止なのだろうか。

静岡のスーパーマーケットにもペンギンがときどき出回ることがある。
たしか切り身200グラムほどで3000円近かったと思う。グラムあたり15円。
平均的なペンギンの体重を5キロとすると、75000円。特に計算の意味はない。
そのパック詰めの肉はやけに赤黒く、けもの肉のような色をしていた。
それでもやっぱり鳥肉の味がするのだろうか。それはそれとして非常に気になるところだ。
そういえば隣にはイルカの肉と鯨ベーコンもあった。何でも食うなよ静岡県民。
アメリカ人が見たら卒倒しそうだ。「イルカは頭がいいからたべちゃあかわいそう」とか
云いやがる国ですもの。しかしアメリカ人に絶滅させられた動物、非常に多いのであるが。
バッファローとか。

食べたことのある肉というと牛豚鳥は当然だが、他はシカ、クマ、トドくらいのものだ。
シカの刺身は最高。赤くて見た目は馬刺みたいだが、かすかな甘みがたまらない。
クマ、トドは安っぽい牛肉の堅いところ、という感じであんまり食うもんじゃあないと思った。

ペンギンに話を戻そう。
長い人生である。宝くじで思わぬ大金を手に入れたり、事業に失敗して抱えた借金を
返済するため、むりやりヤクザの手で焼津港からマグロ漁船に乗せられ、1年くらい
南氷洋をさまよい、マグロのついでにペンギンをひっかける事もあるだろう。
そうしてたくましい体と黒い顔の海の男になって、いやならなくてもいいけどペンギンをめでたく
連れて帰ったら、つぎはペンギンを飼う環境を用意する。
自宅の一階、庭に面した部分に浅い風呂のような水場、できればプールを設置した部屋を作る。
かれは寒い国から来ているので、エアコンは必須。もちろん真冬以外つけっぱなし。
そしてエサ。ペンギンは新鮮な魚を好む。生イワシや生アジなど、丸呑みで1日に何匹も食う。
以上の改築代が数10万〜数百万。電気料金・魚屋への支払いが毎月数万円。
『漁船団の元締め』ならペンギンも、エサの魚も容易に手に入りそうだ。
いいなあ元締め。
もっとも、ちょっとした犬でも一生面倒見ると、平均2〜300万の出費になるという。
大事なのは動物への愛情なのだ。いや、動物を拘束し続ける根性か。
とにかく、ペンギンの手を引いて散歩しながらの人生。ベンツを乗り回すよりよっぽど楽しそうだ。

戻る