文芸家  遠浜 々の紹介

 2003年7月に、処女作「星にとどけ、ベルカント」を発刊することになりました。
 この作品は、弱視者である青年が、ある音楽学校の好意で、初めて健常者と並んで声楽や合唱指揮を勉強し、歌唱指導の「初舞台」を踏むまでの過程をを描いた青春小説です。
 盲学校の同級生の励ましのもと、盲人が故の艱難に遭いながらも、講師や同僚の励ましで、社会的視野を広げ、今までの何倍も心の成長を遂げる主人公。読めばきっと人生が楽しくなる作品です。

 題名 星にとどけベルカント
 著者 遠浜 々(とおはま・のま)
 出版社 東洋出版
 発売日 2003年7月2日
 低下 1200円
 体裁 四六判 246ページ

星にとどけ、ベルカント  

 

      あまい  しんきゅういん
静岡県相良町・天井鍼灸院       

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  ラヴェンダー  ルー  ローズマリー  ローレル

     ヴェンダー

  シソ科ラヴェンダー属
     Lavandula angustifolia  (Labiatae)
 ヨーロッパの地中海沿岸の乾燥地帯に原産する常緑の多年草。ジャスミン・バ ラと共に香水の原料として、最も多く栽培されている植物の一つである。自生種 は20種ほどだが、種簡交配などによって様々な用途の品種が作られている。草 丈は30cmくらいから2bになる物まであり、葉は針状で、白い粉を吹いたよう だ。花は5〜6月に長さ10〜50cmの穂状に咲き、唇形花でいわゆるラヴェン ダー色と呼ばれる青紫のものが多いが、ピンクや白花もある。また、四季咲き性 の品種も作られている。全草に強い香りがある。ポプリ・入浴剤・切り花に用い られるが、植えておくだけで香りが楽しめるので、花壇に植えている人も多い。 一般に寒さにやや弱く、また高温多湿に弱い。属名は「洗う」という意味で、こ れからとった化粧水を風呂上がりによく使ったことから。また種名は「細葉の」 の意味。
 品種
 トゥルー・ラヴェンダー 英名 true lavender. イングリッシュラヴェンダーとも言う。60cmくらい で初夏に花が咲く。
 オカムラサキ 北海道で改良され、富良野のあたりで沢山栽培されている品種。栄養繁殖系。
 ヒッドコート・ブルー hidcoat blue 草丈40cm。全体に小柄な品種。
 レディ lady 秋に種子を播くと翌年に開花する品種。草丈30cmで暖地の花壇・鉢植 え・プランターなどに。
 ロゼア ピンク・ラヴェンダーとも言う。7月頃に薄いピンクの花が咲く。
 スーパーサファイアブルー 日清製油が権利を持っている種苗登録品種。栄養繁殖系で、四季咲き性。暑さ ・寒さに強い。日本全国で栽培できるため、最近種苗店などで苗をよく販売して いる。
 スーパーセビリアンブルー 上記の姉妹種の登録品種。花は夏咲きだが、さらに花が雄大で、家庭の花壇・ 切り花向き。
 スパイク・ラヴェンダー Lavandula latifolia  英名 spike lavender.  種名は「葉の幅が広い 」。草丈が1bを超え、葉の幅が広いが、花は藤色を帯びた灰色で非常に小さい 。樟脳に似た刺激的な香りがあり、防虫の効果がある。性質は比較的強い。
 スイート・ラヴェンダー Lavandula ×heterophilla  種名は「つたのような葉の」。交配種で 栄養繁殖系。甘い香りがある。
  ここからあとは、外国でタネが売られている種で、インターネットなどでタネの入手は簡単だが、日本の、特に暖地の気候には合わないものが多い。
 デンタータ Lavandula dentata 英名 toothed lavenderスペインなど地中海沿岸に分布する樹高45〜90cmの常緑灌木。根本からよく分枝し、枝は角張っている。葉は濃緑色で灰色を帯び、長さ4cm、幅5mmくらいで、鈍い鋸歯があり、種名も「歯がある」の意味である。花は暗紫色。全草および花に香りががあるが、それほど強くない。冬は北風を遮断し、霜よけをする。
 ヒブリダ Lavandula ×hybrida タネをまいたその年に開花する品種。園芸上は一年草として扱われるが、寒さ・暑さが厳しくない地方では灌木になる。草丈30cmくらい。全体に小柄だが、香りなどは平均的なラヴェンダーである。寒地では4月蒔きで8月から9月に、暖地では秋まきで4月から5月に開花する。
 ムルティフィダ Lavandula multifida イタリアやスペインの地中海沿岸の砂礫地に分布する常緑灌木。樹高60〜90cmで、寒さにやや弱い。葉はシダの葉のように羽状の切れ込みがあり、種名も「たくさんの切れ込みがある」の意味である。花は初夏に咲き、花序は8cmくらいになる。暖地で秋まきすれば翌春に咲く。香りは比較的おとなしい
 ペドゥンクラータ Lavandula pedunculata スペインやポルトガルに産する樹高50cm程度の小灌木。茎や葉は灰色の柔毛に覆われている。葉は長さ2〜4cm、幅2〜3mmで細長く、レモンのような香りがある。花は夏咲きで、花穂は長さ3cmくらい。種名は「花柄がある」
 ストエカス Lavandula stoechus 英名 French lavender フランス南部で、香水用などとして大量に栽培されている種。フランス南部の乾燥地帯に分布する樹高50cmくらいの小灌木。灰色の毛羽に覆われている。葉は線状。花は夏咲きで、花序は長さ5cmくらいになり、青紫だが、白花の品種もある。香りが非常に強い。種名はフランスの地名から。
 ヴィリディス Lavandula viridis スペインやポルトガルに分布する、やや寒さに弱い樹高60〜90cmの常緑灌木。全体に毛が生えている。花はやや小さいが、この仲間には珍しい緑色を帯びた白で、種名も「緑の」の意味。秋まきで翌年開花する。
  栽培
 国内では長野県や東北・北海道などでフレーム栽培されている。梅雨時の高温 多湿に弱く、暖地では夏に枯れることが多いので、暖地ではレディのように翌年 開花する品種を秋まきで栽培するか、スーパーシリーズのような暑さに強い品種 の苗を買ってきて栽培するといい。種子は春と秋に播けるが、発芽率は悪く、ま た発芽まで半月から一月かかり、初期の生育が悪い。苗を手に入れた方が無難と 思われる。酸性土壌を嫌うので、あらかじめ一坪当たり200cほどの石灰をす き込んで置く。肥料は窒素分の少ない肥料を控え気味に入れておく。日当たりと 排水のよい土地を好み、水はけがよくない土地では、高畦にして栽培する。枝が 込んできたら収穫をかねて時々剪定し、むれないようにしてやる。 
  利用法
@ 摘んだ花を乾燥させて、お茶にしたり、切り取った葉をそのまままたは乾燥さ せてお風呂に入れたりする。
Aエッセンシャルオイルはアロマテラピーに盛んに用いられており、神経をリ ラックスさせる効果がある。またやけどなど皮膚のトラブルにもよい。
B石鹸や化粧品、医薬品などに用いられている。
C家庭用の花壇や切り花用に。 

 ラッカセイ

 マメ科ラッカセイ属
   Arachis hypogaea   (Leguminosae)
  英名 peanut  別名 なんきんまめ
  漢字名 落花生
 ラッカセイは、現在の日本において、大豆に次ぐ身近な豆になっているが、植物としての落花生を見たことのある人はほとんどいないだろう。特に“いも”でもないのに、地下に実がなることを知っている人は意外に少ない。
 ラッカセイ属は、ブラジルを中心として南米に8種ほど自生種がある。現在の栽培種は、ボリビア原産で、16世紀のかなり早い時期にヨーロッパに渡ったが、冷涼な気候ではうまく育たないため、当時彼らが植民地にしたジャワやフィリピンなどで栽培された。日本では華南を経由してもたらされたので、“南京豆”と呼ばれている。しかし、栽培が盛んになったのは、明治になってからである。千葉県の成田周辺や神奈川県西部などが産地だったが、都市化などで生産量が減り、現在は中国などからの輸入品が圧倒的に多い。春播きの一年草で、茎はすべて値からでて分枝はない。属名も「枝がない」という意味である。茎は匍匐し、長い柄と大きな托葉のある葉は互生する。夏から秋に、葉腋にエンドウ豆に似た黄色の花を咲かせるが、受粉するとさやは地下にできる。種名は「地下に育つ」の意味。
  栽培
 一年草だが熱帯産の植物なので、栽培されているのは千葉県から茨城県南部あたりまでである。日当たりのよい砂質土壌を好む。種まきは5月頃に行い、点蒔きして1〜2cm覆土する。発芽してきたら間引いて株間を50cmくらいにしてやる。肥料は窒素分の少ない、林産・仮の多い豆類専用の肥料が望ましい。
  利用法
@から付きのまま、または豆にしたものをバターなどでいったものが億版的だが、枝豆のように殻ごとゆでて食べることもできる。
A民間療法として、豆を止血剤や鎮咳剤などに使うことがあるが、正式な漢方では使われない。植物性脂肪や、脂溶性のビタミンが多く、毎日数粒食べると健康によいといわれている。
Bピーナッツバターを始め、菓子・食品などに多く利用されている。植物趣旨の中で、落花生は約50%と、もっとも脂肪含有量が多く、落花生油としても利用されている。

    ラムズ イヤー

   シソ科カッコウソウ属
     Stachys byzantina  (Labiatae)
  英名 lamb's tongue, lamb's ear
  和名 ワタチョロギ
 トルコからペルシャにかけて原産する。多年草だが、寒さにやや弱く、高温 多湿には弱い。草丈30〜50cmになる。葉は長い楕円形で、やや厚めで柔らかく、 白い細かい毛に覆われていてウサギの耳を連想させることからこの名前がある。 花は夏に咲き、赤紫のシソに似た唇形花である。ハーブの ベトニー と同属の植物である。
  栽培
 春の4月と秋の9月頃が種まきの適期である。タネが細かいので、鉢か箱に 播き、タネが見え隠れする程度に覆土して乾かさないようにして発芽させる。定 植地はやや乾燥した排水のよい日向か半日陰がよい。乾燥した半砂漠または草原 地帯の植物なので、日本での栽培はかなり難しい。
  利用法
B銀白色の葉が美しいので、クラフトやポプリの材料として使われている。
C気候が温暖で乾燥したところなら、白い葉が花壇のアクセントとして美しい 。 

    ランドクレス

  アブラナ科バルバレア属
     Barbarea sp.  (Cruciferae)
  英名 land cress, American cress
 ヨーロッパ原産の比較的寒さに強い多年草。ヨーロッパ原産なのに「アメリカン」の英名が付いているのは、クレソン(ウォーター・クレス)がよく育たないアメリカでよく栽培されているからである。クレソンとは、別の属の植物だが、葉や茎の香りはやや本物に劣るものの、代用品として十分使え、また栽培も容易なので、家庭用にはおすすめのハーブである。同属の植物は全部で6種ある。茎は直立し、葉は頭大羽状複葉と呼ばれ、へら形で羽状の切れ込みがある。花は黄色で、菜の花を小さくしたようである。鞘は線状で、たくさんのタネが入っている。属名はセント・バーバラに血なんだもの。
  種と品種
 ランドクレス Barbarea praecox ヨーロッパ原産の比較的丈夫な多年草。葉には特有の香りとクレソンに似た辛みがあり、サラダなどに用いられている。種名は「早咲きの」
 ヴルガリス Barbarea vulgaris こちらは観賞用に栽培されるもので、八重咲き種と斑入り種が園芸種である。八重咲きは栄養繁殖系なので、日本での苗の入手はできないが、斑入り種のタネが売られている。葉に明るい黄色の刷毛目絞りが入り、美しい。斑入り種は、花を咲かせると葉が汚くなるので、つぼみが出てきたら摘んでしまった方がよい。種名は「一般的な」
  栽培
 菜の花に近縁の植物なので、初夏から夏に結実し、秋まきする事も十分できるが、市販のタネはヨーロッパ産なので、張るの4月か秋の彼岸過ぎに箱などに播いてタネが見え隠れする程度に覆土し、乾かさないようにしておくと、3〜5日で発芽する。畑に直播きしても良い。密生してきたら、間引きながら(間引いたものは料理に利用する)株間を20cmくらいにする。日向から半日陰の水はけの良いところがよい。
   利用法
@葉や茎をクレソンの代用品として適宜摘み取り、サラダや料理の付け合わせに利用する。
Cヴルガリスの八重咲き種と斑入り葉種は、花壇・切り花用に栽培される。

    リアト リス

    キク科ユリアザミ属
     Liatris spicata  (Compositae)
  英名 blazing star, buttun snakeroot, gay feather
  和名 キリンギク
 アメリカ合衆国東部に35種ほど分布している寒さに強い多年草である。不 定形の塊茎を持ち、地際から多数の直立した茎を出す。葉は被針形で長いものは40cm くらいになり、辛みと樹脂のような香りを持っている。花は8月から10月頃に 咲き、小さなあざみに似た赤紫の花が長い円筒状に集まった花序で、長いものは 花穂が90cmになるものもある。花色には白や青紫色の変種があり、また矮性種も ある。属名については由来は不明である。種名は「穂状花序の」の意味。
  種
 国内で種または根茎が売られているのは、上記の種のみだが、英国などでは次の種がタネで売られている。
 リグリスティリス Liatris ligulistylis アメリカのコロラド・ワイオミングなどの乾燥地帯に分布する草丈1bくらいの多年草。花は8月ころに咲き、濃い青紫。切り花に向く。種名は「ひものような形の」
 プンクタータ Liatris punctata 英名 snake root 合衆国東部に産する草丈60〜80cmくらいの寒さに強い多年草。夏の終わりから初秋にかけて、細く、花が密集した紫色の花穂をたくさん着ける。切り花に向く。
 ピクノスタキス Liatris pycnostachys 英名 prairie blazing star 合衆国中央部の乾燥した大草原に分布している草丈90〜180cmになる短命な多年草。葉は株では被針形、丈夫は線状で密集する。晩夏から初秋に咲く花は藤色で、1cmほどの頭状花が45cmほどの穂状花序に咲く。種名は「密集した花穂の」春播きの二年草として扱われる。
  栽培
 春先に球根として売り出されることもあるが、タネからも栽培でき、春の彼 岸頃に播種すると、その年の秋に花を見ることができる。タネは細かいので、浅 い鉢に播き、タネが見え隠れする程度に覆土しておくと、1ヶ月前後で発芽する 。一度仮植えし、日当たりと排水のよいところに40cmくらいの間隔で植え付けて やる。夏の乾燥にやや弱いので、真夏には根本に藁やたい肥などを敷いてやると よい。比較的丈夫な栽培しやすい植物だが、連作すると障害が出るので、3年に 一度くらい株を彫り上げて株分けし、別の所に植え替えてやるとよい。
  利用法
A根と葉を薬草として使い、腎臓病の薬として使われてきた。利尿・発汗作用 と抗菌作用があるという。またこの属の植物には抗がん作用のあるものも知られ ている。
B花の色が鮮やかなので、葉と一緒にポプリに入れる。特にリアトリス入りの ポプリは「虫除けポプリ」として愛用されている。
C花壇に植えると花穂が立派なので、特に背景に植えるのがよい。切り花やド ライフラワーにもよい。

     コリス

    マメ科ウラルカンゾウ属
     Glycyrrhiza spp.  (Leguminosae) 
  英名  licorice
 中央アジアから地中海沿岸、さらに北米西部や南米などに12種類生育して いる。属名が「甘い根っこ」の意味であることからもわかるように、古くから食 品や薬品などの甘み付けのハーブとして知られていた。草丈50cm〜1.2,mくらい 。葉は羽状複葉で、小葉は楕円形である。花は夏から秋に咲き、小さな濃い紫色 の花だが余りよく咲かない。茎は匍匐して地にふれたところから根を出すことも ある。多年草で暑さや寒さにやや弱い。英語ではリコリスと発音するが、日本で は園芸上リコリスといえば属名がLycorisの彼岸花の仲間で、まぎらわしい。
  
  エキナータ 
Glycyrrhiza echinata ヨーロッパ南部に産する草丈90cmくらいになる多年草。触ると冷たく湿った感じがある。花は6月から7月に咲き、紫の総状花序である。種名は「ハリネズミのような毬に覆われた」
 グラブラ Glycyrrhiza glabra 欧米でふつうリコリスと呼ばれているものはこの変種で ある。変種にはG. g. var typica(イタリアンまたはスパニッシュと呼ばれてい る)、G. g. var violacea(ペルシャンまたはターキッシュとよばれている)、G. g. var glandidulifera (ロシアン)があり、それぞれ香味などが違っている 。主成分のグリシルシジンは、砂糖の50倍の甘みがあるといわれている。
 レピダータ Glycyrrhiza leidata アメリカンともいわれる。アメリカ原住民の間で 、月経や出産に関する薬として使われていたという。中南米原産。
 ウラルカンゾウ Glycyrrhiza uralensis 原産はモンゴルから中央アジアである。根 を乾燥したものは漢方の薬味に使われる甘草である。
  栽培
 春4月か秋の彼岸頃にタネをまいて栽培するか、匍匐枝を入手して春か秋に地 中に挿しておく。ハーブのタネを扱う店で種子を販売しているところがあるが、 タネからでは初期の生育が遅く、また発芽もあまりよくない。小鉢などに播き、2mm ほど覆土しておく。苗はほとんど入手できない。深くまで耕されたよく肥えた 日当たりのよい土地がよく、ややアルカリ性の土地を好むので、日本のほとんど のところでは石灰などで中和しておく必要がある。
  利用法
 @主に茎を摘み取り、食品の甘み付けに使う。
 A欧米では、リコリスはアジソン病や気管支炎、咳止め、また肝臓を守る働 きがあるとされている。漢方においては、甘草はもっとも多くの薬方に処方され ている薬味で、湯と呼ばれる煎じ薬の場合、7割以上のものに甘草が入っている と思われる。甘草湯(かんぞうとう)は漢方としてはごく珍しい単独の薬味から なる処方だが、急性の激痛などに効果があるとされている。そのほか、熱のある 病気、など急性の病気の処方、さらに薬味の働きを調節したり、味を甘くして飲 みやすくする働きなどとして用いている。
B工業的には医薬品やしょうゆ・たばこ・ビールなどの味や香りをつけるため に用いられている。また糖尿病の人向けの食品の甘み付けなどにも用いられてい る。

     ンデン 

   シナノキ科シナノキ属
     Tilia ×europaea  (Tiliaceae)
  英名 linden, lime
 ヨーロッパに広く分布する自然交配種。日本ではシューベルトの「冬の旅」 の中にある歌曲「菩提樹」として有名。日本語・英語とも名前が紛らわしい。日 本語で菩提樹というと、お釈迦様がその木の下で悟りを開いたことで有名だが、 こちらはインドに分布し、かつて観葉植物として非常にポピュラーだったインド ゴムノキと同じ仲間の天竺菩提樹(てんじくぼだいじゅ)である。シューベルト の方は正式な和名は「セイヨウシナノキ」で、日本にも北海道などに多く分布し 、木質部がサンショウに似た香りがするために、割り箸などと原料としてよく使 われているシナノキと同属である。英語は、アメリカではドイツ語のLindenbaum からlindenと呼ばれるが、英国ではlimeといい、レモンに似てカクテルなどに使 う柑橘類のライムと紛らわしい。樹高40b以上になる落葉大高木で、寒さには かなり強いが、暑さにやや弱い。幹は直立し、葉は5pくらいの柄がある長さ1 0pくらいの卵形である。8月頃に集散花序を出し、小さなクリーム色の花を垂 れ下がるように咲かせる。花には強い香りがある。
  
 セイヨウシナノキ Tilia ×europium 本文に説明した種。
 フユボダイジュ Tilia cordata 上記の原種とされる。ヨーロッパのかなり北の方にまで分布し ている落葉高木で、樹高30mくらいになる。葉は小さなハート形で長さ6cmくら い。花も小さいが香りが強い。
 マンシュウボダイジュ Tilia mandshurica 満州〔中国東北部〕原産の5〜8bくらいになる落葉樹で、葉が大きく、長さ・幅とも30cmくらいになる。夏に黄色の香りの良い花を開く。
 モンゴルボダイジュ Tilia mongolica 英名 Mongolian lime 中国北部からモンゴルにかけて分布する樹高10b以上になる落葉高木。枝や葉は小降りで、葉は三角で三つに浅い切れ込みがあり、長さ・幅が5cmくらい、密生してこんもりと丸くなるので、広い庭の庭園樹に適している。花は7月に咲き、香りの良い黄色の花が30くらいまとまって咲く。花は2b足らずの若いうちから開花する。
 シロボダイジュ Tilia tomentosa 樹高30m以上になる落葉高木で、葉は表は深緑だが、浦にビロード 状の白い毛が生えていて、種名も「繊毛のある」の意味。夏に白い花がぶら下が るように咲く。
 シナノキ Tilia japonica 日本の、特に東北や北海道の山地に分布する樹高15mくらいの 落葉高木。枝の先はしだれる。葉はハート形で長さ7cmくらい。花は黄色で房状 にぶら下がって咲き、長さ数十cmになることがある。木材はもろいが独特の香り があり、経木やマッチの軸、割り箸の材料として使われる。樹皮は布や縄の原料 になる。「シナ」はアイヌ語で「縛る」の意味で、樹皮を縄にして使ったことか ら名付けられた。
  栽培
 夏の間高温多湿になる日本では栽培が難しい。砂利や砂が混じった水はけの よい、腐食質の多い土地を好む。タネは取り蒔きにするが、発芽は非常に悪いの で、取り木などで増やした苗を入手した方がよい。苗が小さいうちは寒さにも弱 い。
  利用法
@ ヨーロッパでは公園や街路樹としてよく栽培されている。花を苞葉ごと乾燥し たものがリンデンティーとして売られている。

  ルイボス

     マメ科アスパラトゥス属
    Aspalathus linearis   (Leguminosae)
   英名 rooibos
 南アフリカ原産の樹高2bくらいになる寒さにやや弱い常緑灌木。同属植物は200種以上あると言われているが、全てアフリカ南部の原産で、それぞれごく狭い範囲に分布している。全て樹高40cmから2bくらいの常緑灌木である。ルイボスは、ブッシュマンやホッテントットなどの、この地域の人たちが嗜好品または保険飲料として使用していたのを、19世紀の末にこの地方を旅行していたロシア人が偶然見つけ、欧米に紹介した。幹は直立し、枝と葉が多数出る。葉は線状で、やや革質である。花は7月から8月にかけて咲き、エニシダによく似た黄色い蝶形花である。同属植物のほとんどは黄色い蝶形花をつけ、初夏または真夏に開花するものが多いが、まれに白・藍色・紫・赤などの花のものもある。樹形が整っていて花も美しく、栽培もそれほど難しくないため、園芸的にも魅力的な植物だが、種苗の入手は困難である。属名は「とげだらけの」の意味で、ハリエニシダに似てとげが多いものが多いことから。種名の方は「線状の」の意味である。
  栽培
 強い霜が降りない地域であれば、十分に栽培できる。日当たりがよく、腐植質の混じった、砂混じりの赤土などの軽い土を好む。やや酸性土壌を好む傾向がある。種は一晩水につけた後、4月頃に播種し、3ミリほど覆土しておけば一ヶ月くらいで発芽する。苗があまり大きくならない内に適当な場所に定植する。
  利用法
@近年サプリメントとして人気の高いルイボス茶(Rooibos tea)は、上記の植物の茎および葉を乾燥させたものである。生産量が少なくやや高価だが、ハーブ・ティーとしては飲みやすいものの一つである。
A鎮痙作用があると言われており、下痢や胃腸障害などに用いられる。またアレルギー生涯の湿疹、じんましんなどにもよく、「万病の素」とされる活性酸素を防ぐ作用があるという。

     ー 

   ミカン科ヘンルーダ族
     Ruta graveolens  (Rutaceae)
   和名 ヘンルーダ   英名 rue
 南ヨーロッパ原産の常緑小灌木。属名は古いギリシャ語に由来するが、ruomai (保持する)という言葉と関係がある、古くから健康保持のためのハーブとし て料理などに使われていた(ただし現在では毒性が指摘され、飲食しない方がいいと言うことになっている)。中国にも唐の時代にはすでに入っていて、芸の字がこの植物を表す字として出ている。現在の芸の字は藝の省略形として使われているが、オリジナルの芸はウンと読み、ほのかな香りがする草という意味である。心を落ち着ける、桜餅のような上品な香りなので、書物の栞などによく使われ たようだ。樹高90cmくらい。葉は複葉で、一つ一つは長さ5ミリほどのへら形 で、少し灰色を帯びている。初夏に花茎が伸び、花径1cmほどの黄色い花を沢山 付ける。花壇用・ポプリの材料などに使われる。香りが強すぎるのと、毒があるという説があり、昔は健康用にティーなどにしたようだが、現在では飲食はしな い方がいいとされている。
  栽培
 4〜5月にタネをまく。床蒔き・直播きどちらでもよく、3ミリくらい覆土を しておくと半月ほどで発芽する。常緑樹なので、冬でもよく日が当たるやや乾燥 して水はけのいいところに栽培する。寒さ・暑さに強く、病虫害にも強く栽培し やすい。
  利用法
B 生の枝を摘んで本の栞に使うといい。また、ポプリに入れてもよい。

    レモンヴァ ビーナ

    クマツヅラ科リッピア属
    Lippia citriodora (Aloysia triphylla)  Verbenaceae
  英名 lemon verbena  別名 レモンバーベナ
 南米のチリなどに原産する寒さに弱い落葉低木。樹高は3〜6bくらいになる 。茎は角張っていて、葉は長さ10cm、幅2cmくらいで厚く細長く、3枚が輪生 する。葉にさわやかなレモンのような香りがあり、心を和ませる作用があり、お 茶にして飲まれる他、料理の香味付けにも使われる。以前美女桜と同じクマツヅ ラ科クマツヅラ属に入っていたためにレモンバーベナと呼ばれているが、現在は 別属で、書物によって上の2種類が書かれている。ともに属名は人名から。種名 のcitriodoraは「レモンの香りがする」。triogyllaは「三つ葉の」。
  その他の種
 リッピア・ドゥルティス Lippia dulcis 中米の高原地帯に産する、寒さにやや弱い多年草。レモンヴァビーナとは違って横に広がる性質があり、草丈は20cmくらい、葉は3枚か5枚の小葉から成り、非常に強い甘い香りがある。花花津崎で、白い穂状花である。こちらは英国などでタネが売られており、4月か9月ころに播くとよく生育する。葉を摘んで紅茶に入れて飲んだりサラダに入れて使うことができ、花壇や鉢植えだけでなく、ハンギングバスケットに入れて楽しむこともできる。種名は「甘い」。
  栽培
 種子が付かない植物なので、挿し木で増やす。5月頃に専門店で苗を購入する 。寒さに弱く、霜に当たると枯れてしまうので、温室で植えるか鉢植えにして冬 の間は日当たりのよい窓辺などで管理する。水はけの日当たりのよいのを好む。 寒さに弱い以外は比較的栽培しやすい植物である。
  利用法
@ 随時生の葉をつみ取ってお茶などに利用する。夏の開花期が一番香りが高いの で、そのときに葉をつみ取って乾燥保存してもよい。

     モングラス 

   イネ科カルカヤ属
     Cymbopogon cytratus   (Gramineae)
   英名 lemon grass
 インド・スリランカなどで古くから栽培されている植物だが、野生品はない のではないかといわれている。ススキに似た多年草で、寒さにやや弱く、強い霜 に当てると枯れる。草丈は2b近くになる。全体にススキとよく似ているが、花 は国内では咲かないことが多いようだ。属名は「カップ」と「ヒゲ」の合成語で 、お茶の香り付けによく使われたことと、Andropogon属とごく近縁種であること から。Andropogonは「男のヒゲ」の意味で、小穂に絹糸状のひげが生えているこ とから。
  品種
 レモングラスと同属の植物に、シトロネラ・グラスCymbopogon nardos(種名 は「香り のよい灌木」の意味」がある。草丈2b近くになる多年草である。
  栽培
 種子が売られているが、発芽率があまりよくなく、全く発芽しないことも多い ので、特別の場合以外は苗を買って栽培することをお勧めする。植え付けは霜の 心配がなくなった5月頃がよい。日当たりと水はけのよい土地なら、多少やせて いてもよく育つ。強い霜に当たると枯れるので、暖地以外は鉢に揚げて屋内に取 り込んで冬を越したほうがよい。千葉県南部や伊豆以西の暖地では多少地上部が 傷むが、屋外で越冬する。地植えの場合、2〜3年に一度彫り上げて株分けする とよい。
  利用法
@ 生の葉を適宜つみ取ってお茶にして飲む。また、料理の風味付けにも使える
A、高血圧や脳卒中の予防に効果があると言われている。

    レモンバー  

   シソ科セイヨウヤマハッカ属
     Melissa officinalis  (Labiatae)
   和名 セイヨウヤマハッカ 別名 コウスイハッカ
   英名 lemon balm
 南ヨーロッパ原産の寒さに強い常緑多年草。草姿はシソによく似ていて、草 丈80cmくらい。葉は対生して葉脈に沿ってしわがある。花は夏に咲き、小さな 白い唇形花である。丈夫で作りやすく、手軽にレモンに似たさわやかな香りが獲 られることから、最もポピュラーなハーブの一つになっている。種子は入手しや すい。暑さにも強く、大株になる。
  栽培
 種まきは春4月と秋の彼岸頃がよい。種子は細かいがばらまきして種子が隠れ る程度に覆土して乾かさないようにしておくと、一週間kらいで発芽する。適当 な大きさになったら40cm間隔に間引く。苗によって香りに善し悪しがあるので 、間引くときに気をつけるとよい。水はけ・水持ちが適当なところなら半日陰の ところでもよい。
  利用法
@ 随時生の葉を取って利用する。特に花を咲かせると株が老化するので、開花期 には枝の先を剪定するつもりで大きく摘みとるといい。葉は柔らかくて香りがよ く、わずかな苦みがあるので、サラダに入れたり、お茶にして飲むこともできる 。ポプリや浴用剤にも使われている。

 レンギョウ

 モクセイ科レンギョウ属
   Forsythia sp.   (Oleaceae)
  英名 golden bell flower
 全部で6種知られているが、1種が南東ヨーロッパに分布するほかは、すべて中国・朝鮮半島および日本の原産である。日本に分布するヤマトレンhギョウは、花付きがまばらで、また、薬草としての価値もないので、栽培されない。樹高2〜4メートルくらいになる落葉低木で、枝はよくしだれ、地面に付いたところから発根して増えることもある。母卵形で5〜8cmくらい、挙止がある。花はちょうど桜が咲く時期に葉に先立って咲き、明るい黄色である。日本では黄色い花というと、山吹の苞がよく知られているが、それより早く、しかも葉のない前年の枝の葉腋に咲くのでよく目立ち、庭木や切り花としてはレンギョウの苞が値打ちがある。特に春の遅い朝鮮半島では、ケナリといい、ツツジとともにもっとも人気のある春の花となっている。果実は長さ1.5cmくらいの卵形で、2千年以上昔から漢方薬の薬味として利用されている。属名はロンドンにある王立植物園の監督官で、果樹についての著書もあるウィリアム・フォーサイスWilliam Forsyth (1737 - 1804)にちなんだもの。
  種と品種
 インターメディア Forsythia ×intermedia 近年欧米で改良された、レンギョウとシナレンギョウの種間交配種。切り花用などに作られるのは、これが非常に多くなった。
 レンギョウ Forsythia suspensa 中国で古くから薬草として利用されている種で、日本でも庭木として植えられているものにはこの種がおおい。種名はあの「サスペンス」だが、これは枝が垂れ下がる、つまりしだれるという意味。ぶら下がる→宙ぶらりん→不安定から、胸がどきどきするようなという意味が出吉良。
 シナレンギョウ(支那連翹)Forsythia viridissima ふつうのレンギョウより花が大きく、観賞植物、特に切り花用に多く作られている。この変種のチョウセンレンギョウ(朝鮮連翹)は、韓国語でケナリといい、朝鮮半島ではツツジと並び、もっとも親しまれている花木である。
  栽培
 寒さに強く、日本の気候に会っている植物なので、夏の間半日以上日が当たり、適度な水はけのあるところなら、楽に栽培できる。種を焼くようにする植物だが、外国でもタネが売られているところはなく、 

    ロー  

   バラ科バラ属
     Rosa sp.  (Rosaceae)
  英名 rose
 北半球の温帯地方を中心に野生種だけでも数百種あると言われている。落陽 低木で、樹高は1〜2m。ほかのものにもたれかかって伸びてゆくいわゆるつる 性の種類もある。茎は太くて通常棘があり、棘が一見欠点のように見えながら、 この植物のシンボルになっており、以前アメリカのある育種家が苦心して棘のな いバラを作り出したが、全く人気が出なかったという話がある。葉は羽状複葉で 、5枚から13枚の小葉からなる。花は本来は5月から6月にかけて咲き、花径 は数センチくらいの5弁花だが、ギリシャ時代から花弁数が100枚近くある八 重咲きのキャベッジ・ローズというのが栽培されていたという。また、現在の主 流は四季咲きの品種で、適当な温度があればいつでも咲いていて、それを利用し て温室栽培のものが終年出荷されているが、路地で栽培した場合は、春と秋の2 季咲きになる。ばらは観賞植物として栽培の歴史が一番古く、エジプトの時代か ら栽培されていたのではないかと言われている。英国では王家の紋章にバラを使 っていて、「薔薇戦争」はよく知られている。ヨーロッパ帝国主義の矛先が、中 国に向けられた19世紀になってから、中国や日本産の野生のバラが持ち帰られ 、品種改良に利用されて飛躍的に品種がふえた。現在でも香水用と観賞用の植物 の中では、群を抜いて栽培数が多い。
  種と品種
 ほかの属の植物は、種間交配で雑種ができたとしても、一代限りでその次の代 の子孫はできないのが原則になっているが、バラの場合は野生種の段階でかなり 交雑によってできたとされる原種がある上に、自在に交配が可能で、そのために 万を越える品種が出回っていると言われている。バラだけの種や品種を掲載した 図鑑も出回っているほどで、ここに書ききれるものではないので、苗として入手 しやすい園芸種の系統と、タネで売られている原種についてだけ述べることにす る。
 なお、バラの園芸種では、1867年以前に発表されたオールド・ローズと 、それ以降に出てきたニュー・ローズに区別されている。この年に現在園芸バラ の主流になっているハイブリッド・ティー(H・T)と呼ばれる系統が誕生した ためだが、1季咲きで花が小さいが、香りが強くて野趣に富んだオールド・ロー ズは今でもファンが多く、ハーブやオールド・ローズ専門の種苗商で販売されて いる。
 ハイブリッド・ティー系 H・T種 現在栽培されているもっともポピュラーな品種群で、切り花として出荷され ているバラはまず大半がこの系統である。花径20cmくらいになり、花色は赤・ピ ンク・藤色・黄色・オレンジ・白と黒バラと呼ばれる暗赤褐色、それに覆輪など の2色咲きのものがある。花びらの両脇が下の方に曲がり込んで、花弁が3角に とがって見え、しかも花の中心が高く盛り上がっている剣弁高芯(けんべんこう しん)と呼ばれるものが中心になっている。温室で営利用に切り花として栽培さ れるほか、路地の庭園でも栽培されている。見栄えに重点が置かれて改良されて いるために、香りはオールド・ローズほど強くないが、黒バラや白・藤色の品種 には強い香りのものもある。ティー・ローズと呼ばれる紅茶の香りがする系統の バラとの交配で生まれたためにこの名前がある。
 フロリバンダ 花が8cmくらいと小さく、花の数が多い。花壇用などに使われており、前者に 比べると性質も強い。H・Tとフロリバンダの中間の性質を持ったグランディフ ロラという系統もあるが、品種数は少ない。
 つるばら アサガオなどのように巻き付くのではなく、茎が長く伸びてもたれかかるよう にして伸びる。普通は人間が枝をわざと曲げて、ポーチや垣根などに縛って花を 咲かせる。H・Tの改良でできた四季咲き性の強い大輪系と、1季咲きの中輪系 などこれにもいろいろな系統がある。
 ミニチュア・ローズ 鉢植え用に改良された系統で、樹高は30cm足らずで、花径も3cmくらいと小柄 なバラである。姫ばら、ミニバラとも呼ばれている。
 ここから原種である。
  アルピナ Rosa alpina 英名 alpine rose ヨーロッパのアルプス・ピレネーなどの高山地帯に分布する樹高40〜150cmの落葉樹。葉は黄色みを帯びている。花は夏咲きで、花径7cmくらいになり、明るい赤紫。そのあとにフラスコ形の赤い実がなる。種名は「アルプスの」
 ドッグローズ Rosa canina 英名 dog rose 和名イヌバラ。種名も「犬」の意味で、以前葉 を煎じた液が犬の皮膚病の治療に使われていたからだという。樹高2〜3mで、 蔓バラのようだ。花は白から濃いピンクまでで香りが強い。西アジアからヨーロ ッパにかけて広く分布し、変種が多い。
 コウシンバラ「庚申薔薇」 Rosa chinensis 英名 China rose 中国原産の落葉樹。半直立性で、普通樹高1〜3bだが、蔓性になって8bくらいに伸びることもある。日本でも古くから庭木、観賞樹として栽培されている。葉は3枚または5枚の照葉からなる羽状複葉である。花は初夏に大草区が、夏や秋にも咲き、花径5〜6cmでピンクや赤紫が多いが、白花もある。半や江崎のものが多いが、香りがほとんどない。現在のバラ生産量のほとんどを占める四季咲き大輪系の重要な交配親である。
 エンジェルローズ Rosa chinensis var minima 英名 Angel rose 上記の変種で、樹高30〜50cm。3月にタネをまくと、9月ころには開花する系統。花は半や江崎で、ピンクまたは白。
 フィリペス Rosa filipes 中国の奥地に分布する蔓性のバラで、樹高3〜6bになる。5ないし7枚からなる小葉は細長い。花は6月ころに咲き、花径2cmほどの小さな黄色みを帯びた白花だが、香りがよく、直径40cm以上の円錐状に100あまりの花を咲かせることもある。種名は「柄が糸のような」。
 ガリカ Rosa galica 英名 French rose 最も古くから栽培されているbらの一つ。特にフランスで、香水の原料として栽培されるため、「フランス産の」という種名があるが、アジア西部から南ヨーロッパにかけて広く分布している。樹高60かr90cm。直立性で、茎には細かいとげが非常に多い。花時は比較的長く、花はピンク、赤紫から釜であり、花径3〜7cm。「キャベツのように‘花びらが多い超八重咲きのものもあ梨、香りが非常に強い。コウシンバラとともに、四季咲き大輪系のバラの重要な交配親の一つと言われている。
 ギムノカルパ Rosa gymnocarpa 北米大陸西部に分布する樹高30〜150cmの直立性のバラ。花は直径2cmくらいで、明るいピンクだが、茎の先に1,2輪咲くだけなので、バラの仲間としては最も観賞価値のないものの一つ。果実もエンドウ豆くらいの大きさである。種名は「果実が裸の」
 スィートブライアー Rosa rubiginosa 英名 sweetbrier 樹高2mくらいになる。葉は5枚〜9枚 の小葉からなり芳香がある。花は花径5cmくらいのピンクの5弁花で甘い香りが ある。
 ハマナス R. rugosa 和名は正しくは同じバラ科のなしに実が似ているので、「ハマナシ 」と言うべきで、ハマナスは東北訛りとする説があるが、嗜好品である果物のナ シよりも、野菜のナスの方が身近なものであったはずで、ハマナスの方が正しい とも言われている。樹高1mくらいの低木で棘が密生している。葉にしわがあり 、種名も「しわくちゃの」の意味。花は紅色で、その後朱色の直径3cmくらいの 果実をつける。茨城県以北の日本の海岸地帯に分布している。
  栽培
 種から栽培するには、取りまきが一番いい。年を越した種は発芽が悪い。浅鉢 などに播き、水を切らさずに凍らさず、かつ、寒さに十分に当ててやると春にな ってから発芽する。苗の場合、春に接ぎ木したものをすぐに4月末から5月頃に 売り出す新苗と、それを一夏栽培して落葉してから11月頃と翌年3月頃に売り 出す2年苗があるが、2年苗を求めること。植える場所は排水と日当たりがよい 場所で、植える前に堆肥を十分にすき込み、酸性土壌の所は石灰などで中和して 肥料も適当に施してから、株間1mくらいで植え付ける。バラの木は様々な病虫 害に弱いので、定期的に殺虫剤や殺菌剤を散布してやる。8月頃に伸びた高さの 3分の1くらい、真冬に木の高さの半分くらいを剪定してやるとよい。バラの栽 培はなかなか難しく、バラだけの解説書が何冊も出ているので、それを参考にさ れたい。
  利用法
@手軽にバラの香りを味わえるのは、バラ茶である。バラの花びらを1輪分、 番茶かウーロン茶と一緒に急須のなかに入れて振り出してやればよい。黒バラは 香りがきつすぎるので、白か藤色の品種の方がよい。花でジャムを作ることもで きるが、リンゴやイチゴなどと混ぜて作る。野生のバラのつぼみはビタミンが多 く、生で食べることもできるが、乾燥させたものを振り出してローズヒップティ ーにする。ロゼのワインのような美しいピンクで酸味がある。
A薔薇の実は以前から風邪に効果があると言われていた。アロマテラピーでは 抗鬱作用や、催淫作用があると言われ、収斂作用、抗炎症作用もあり、アロママ ッサージや芳香浴などで、様々な症状に用いられている。
B薔薇の香りは「香りの王様」と呼ばれるほど誰にも愛されており、女性用の 香水のほとんどと、男性用の半分近くに薔薇の香りが配合されているという。た だし1トンのバラから300gのエッセンシャルオイルがとれるだけなので、非常に 高価で、安価な香水はほとんどが合成香料で作られている。
C切り花としてもっとも多く作られているのがバラであろう(日本ではキクの 方が多い)。花壇に植えたり垣根に絡ませて楽しむことができるが、栽培が面倒 なこともあって、よほど園芸の好きな人でないと勧められない。そのためという と語弊があるかもしれないが、欧米では昔からバラ花壇を中心にした公園がたく さん整備され、日本でも調布の神代植物園など大きなバラ園を持った植物園や公 園がある。静岡県では島田市のばらの丘公園や、浜松のフラワーパークなどにた くさんの薔薇が植えられている。5月中旬から6月中旬までと10月が観賞の最 適期である。

    ローズウッド

    クスノキ 科アニバ属
    Aniba roseaodora  (Lauraceae)
  英名 rosewood
1種類がインドに産するほか、40種ほどある同属植物のほとんどが熱帯アメ リカまたは西インド諸島の熱帯雨林に分布する。常緑低木または高木である。こ のうち、加工材用及びアロマテラピーなどに使われるエッセンシャルオイル用と して重要なローズウッドは、南米の熱帯雨林を構成する樹木としてはごく普通の もので、ギアナ・ベネズエラからブラジルに欠けて広く分布していたが、乱伐に より今は野生のものはほとんどなくなってしまった。樹高25m, 広がり15mくらい になる高木で、枝はまっすぐのび、葉は長さ15cmくらいの楕円形で、皮革のよう で光沢があり、裏側は黄褐色をしている。花は赤い小さな花が、季節に関わりな く咲き、実を結ぶ。1873年に仏領ギアナで発見され、家具剤や細工物に使われて いたが、現在はエッセンシャルオイルの需要が高い。
  栽培
 樹高が高く、また最低17℃の温室が必要なため、家庭では栽培できない。
  利用法
Aエッセンシャル胃オイルが、強壮作用や催淫作用があり、また神経を興奮・ 刺激させる作用があるため、鬱状態の改善によいとされる。また、清肝作用や殺 菌作用もある。
B以前は家具などに使われていたが、貴重品になってきており、ブラシや包丁 ・ナイフの柄などに使われる。。

    ローズ マリー

    シソ科マンネンロウ族
    Rosmarinus officinalis  (Labiatae)
  和名 マンネンロウ  別名 青春の木  英名 rosemary
  フランス名 romarin(ロマラン)
 南ヨーロッパの海岸地帯の砂地などに生えている寒さにやや弱い常緑低木。 ハーブとしてはもっともポピュラーな物の一つ。樹高150cmくらいになるが、 枝は細くて柔らかく倒れやすい。葉は細い針状で、独特の香りがある。花は春に 咲き、葉の間に白または薄紫の小さい唇形花をまばらに咲かせる。属名は「海の しずく」の意味で、海岸沿いに自生し、露のように小さい薄紫の花を咲かせるこ とから。種名は英語のofficeと語源が同じ「商売用の」の意味で主に薬草に多く 付けられている名称である。
  品種
 栄養系の品種にトスカナブルーという濃い青紫の花の咲く品種と、桃色の花が 咲くマジョルカポンクがある。タネとして売られているのは、薄紫の花の品種で ある。
  栽培
 4月頃にタネを播く。箱に播き、2ミリほど覆土しておくと3週間ほどで発芽 する。ただし他のハーブに比べると発芽率はあまりよくない。一方挿し木はよく 着くので、近くに栽培している人がいたら枝を分けてもらい、赤玉土などに挿し ておくと1ヶ月くらいで発根する。初期の生育は遅いが、真夏を過ぎると元気が よくkなり、枝を伸ばしてくる。普通の品種は枝が弱く、地面を這ってしまうの で、伸びてきたら適当な支柱を立ててやるといい。強い霜に当てると枯れてしま うことがあるが、静岡県以西の暖地では、霜除けなしでも冬を越し、比較的丈夫 なハーブである。
  利用法
@ 肉や魚の料理で臭みを取ったり香り付けによく使われ、殺菌・酸化防止作用が あり、食欲増進や脂肪の消化を助ける作用もあるという。ただし香味が強いので 使いすぎないように注意すること。乾燥品をお香のように炊くと、部屋の悪臭を 取ることもできる。

   ローレル 

   クスノキ科ゲッケイジュ
    Laurus nobilis  (Lauraceae)
  英名 bay  和名 ゲッケイジュ(月桂樹)、ローリエ、ベイ
  フランス名 laurier*ローリエ)
 ヨーロッパの地中海沿岸の暖かい地方、特にカナリア諸島などに2種分布している。樹高5〜10mくらいの常緑低木または小香木で、寒さにやや弱い。幹は直立するがよく分枝する。葉は互生し、長さ10cmくらいの長楕円形で、厚みと光沢があり、若い葉は暗緑色だが、生育した葉は褐色をおび、独特の香りがある。雌雄異株で、雄花・雌花とも葉腋に咲くが、淡黄色であまり目立たない。ギリシャ・ローマ時代から、葉をキッチンハーブとして用い、パセリ、チャイヴズ、タラゴンなどとともに、最も重要なキッチンハーブの一つである。属名は「喜ばせる」の意味で、古代ローマで勝利の印として冠に飾られたことによる。種名は「高貴な」の意味。
  品種
 普通種のほかに、葉が斑入りになったもの、葉の色が明るい黄緑色のもの、葉の細いものなどがある。
  栽培
 欧米の種苗店では、種がよく販売されている。種は直径2cmもある大粒の卵形のもので、やや大きめの鉢に播種して2cmほど覆土しておく。蒔き時は3月頃がよいが、発芽はあまり良くないようだ。一般には春にのびてきた新しい若い枝を、6月頃に砂などに挿し木しておくと発根してくるので、翌年適当なところに植えるようにすると良い。植える場所は、冬でもよく日が当たり、排水が沃野や乾燥したところがよい。強い下に当てると枯れてしまうので、関東以北の寒い地方では、1尺ぐらいの大きめの鉢に植えて、冬場は霜のかからない日溜まりにおいてやると良い。貝殻虫が付きやすいが、これは殺虫剤が効かないので、古い歯ブラシなどでしごき落としてやる。肥料は控えめにしておいた方がよいだろう。
  利用法
@スーパーやデパートのスパイス売場には、葉の原形と粉にしたものが売られている。庭から採って使う場合は、年中使うことができるが、8月頃の一番充実したときが香りが高い。ふつうは原形のまま、スープや煮込み料理の香味付けに使い、料理ができあがったら、取り出して捨てるのがよい。
C葉に光沢があって美しく、また、刈り込みによく耐えるので、庭木や生け垣用の樹種として最適である。房総や静岡県以西の暖地に向く。

    ローゼ

   アオイ科ムクゲ属
     Hibiscus sabdariffa  (Malvaceae)
  英名 jamaica sorell, roselle
 西インド諸島のジャマイカなどに原産する寒さに弱い大形の一年草で、南米や東南アジアなど、熱帯地方の多くの国で栽培されている。草丈は十分な環境で 栽培すると2m以上になる。茎は直立して根本は木質化する。葉は大きく掌状の複 葉である。花は、タネをまいてから5ヶ月くらいで咲き、花径7cmくらいのロート状で、基部は赤紫である。種名はギリシャ語で マーシュマロウ(お菓子のマシュマロで有名)の意味で、はじめは同属だったが、現在は別の属になっている。この属は非常に種類が多く、フヨウ、ワタ、トロロアオイ、ムクゲや、ハワイのレイで有名なハイビスカスもこの仲間である。
  栽培
 実がなるまでに播種から半年くらいかかる。発芽温度が高く、また寒さにも 弱いので、沖縄や南西諸島以外では栽培にはあまり向かない。25℃以上の加温 設備があれば、3月頃に播き、1cmくらい覆土しておくと発芽するので、5月く らいになったら屋外に70cmくらいの間隔で植え付ける。暑い季節は非常に丈夫で よく生育くする。
  利用法
@生の葉にはクレソンに似た香りがあり、生のまま、または加熱して食用にす る。花の後発達してくる赤紫色の萼は、ビタミンCが豊富で、ジュースにして飲 んだり、食品の色づけなどに用いられる。タネは炒って食用にし、またタネから とれる油も食用になる。
A解熱作用や、腎臓の病気に効果があるといわれている。

    ロケット 

   アブラナ科キバナスズシロ属
      Eruca vesicaria subsp sativa  (Cruciferae)
  和名 キバナスズシロ  英名 rocket
  市場名 ルッコラ
 近年サラダ用高級野菜として、市場に出てきているが、英語のロケットは紛らわしいため、イタリア語のルッコラrucolaが使われている。ただしイタリアでは、地方により、ロケッタrochettaとも言う。ヨーロッパの地中海沿岸地方を中心に分布する一年草だが、非常に性質が強 く、繁殖力が旺盛なため、アジアやアメリカなどで帰化植物になっている。秋ま きではダイコンのようなロゼット状の根生葉が広がり、開花期に近くなると、茎 を伸ばして草丈50cm〜1mくらいになり、葉には柄があって、左右非対称ないび つな格好をしている。花は夏に咲き、淡黄色または白色で紫の筋がある。花の状 態はダイコンや菜の花によく似ている。属名は古いラテン語の名前に由来し、種 名は「水膨れの」の意味。果実が丸く大きいが、中が中空になっていることから 名付けられたもので、近縁植物にはこの名前を属名にしたものもある。亜種名は 「栽培される」の意味。
  品種
 普通種のほかに、ワイルドまたはイタリアンと呼ばれる原種のタネが売られ ている。普通種より小柄で草丈30cmくらい、花は小さく黄色みが強く、香味もや やきつい。
  栽培
 こぼれ種でも増えるくらい丈夫な植物で、秋の彼岸頃か春4月頃に、半日陰 くらいの適当な場所にタネをバラまきし、2mmほど覆土しておくと発芽してくる ので、順次間引きながら利用してゆき、最終的には30cmの株間になるようにする 。アブラムシがつきやすいので、スミチオンなどで防除するが、農薬を散布して も十日くらいたてば積んで食べても大丈夫である。
  利用法
@ギリシャ時代には、腎臓病や消化器などの病気に使われたことがあるようだ が、現在では薬草としては使われていない。葉はゴマと胡椒を逢わせたような香 りと辛み、苦みがあり、若い葉を摘んでサラダなどに使う。ビタミンA、ビタミ ンCが多く含まれているので、生で食べるといい。花も生で食べることができ、 タネもマスタードの代用になる。

    ロケッ ト・スィート    

       アブラナ科ハタザオ属
     Hesperis matronalis    (Cruciferae)
  英名 sweet rocket. Damask violet. Dams's violet
  和名 ハナダイコン
 シベリアからヨーロッパにかけて分布している寒さに強い多年草だが、暑さ には弱く、日本では秋まきの一年草として扱われている。「ロケット」と呼ばれ る植物は3種類あり、全てアブラナ科に属するが属は違っていて紛らわしい。一 つはフユガラシと呼ばれる雑草で、そのタネが売られることはないが、前項のキ バナスズシロもロケットと呼ばれ、タネの袋にロケットと書かれて販売されてい る物には、キバナスズシロとハナダイコンの2種類があるので注意が必要である 。ヨーロッパでは比較的ポピュラーな草花で、寒さに強いためドイツなどでも栽 培されており、シューベルトの歌曲に「はなだいこん」という作品がある。草丈60 〜90cmくらいで、葉は柄がなく長いへら形で、5月から6月にかけて、紫色の 菜の花と同じ形の4弁花を開く。花が藤色で大根に似ているのでこの和名がある が、ダイコンとも別の植物である。属名は「夕方」の意味で、夕方になると甘い 香りを放つことから。種名は「婦人の」の意味。英名もこれにちなんでいるが、 昔ローマで3月1日に婦人の祭りがあり、このころから咲き始めるので名付けら れたのではないかと思われる。
  品種
 ヨーロッパでは藤色のほかに、ピンクや白花、また栄養繁殖で増やす八重咲 き種があるようだが、国内でタネとして売られているのは1種類だけである。輸入種子にはロケットまたはスイート・ロケットと書かれ、国産(と言ってもタネの袋だけだが)には、ヘスペリスと書かれている。
 ルテア Hesperis lutea 上記とは別の種で、草丈60〜90cmの多年草。花付きはややまばらで、初夏に淡黄色の花が開く。
 ステヴェニアナ Hesperis steveniana 小アジア原産の二年草または短命な多年草。3月から10月まで、香りの良い明るい藤色の花を咲かせる。
  栽培
 連作を嫌うので、3年くらいこの植物を栽培してことのない土地に、秋の彼 岸頃にタネを直播きする。適当にばらまいて2mmくらい覆土しておき、ある程度 大きくなったら20cmくらいの株間になるように間引いてやる。丈夫な植物で、関 東あたりまでは霜除けなしで越冬できる。
  利用法
@間引いた葉はビタミンCが豊富なので、サラダなどにして食べることができ る。苦みと少し辛みがある。
C花は非常に香りがよいので、花壇に植えておくとよい。切り花にもなる。

    ワームウッ  

   キク科ヨモギ属
     Artemisia spp  (Compositae).
  英名 wormwood
 ヨーロッパの広い範囲に雑草として分布する常緑多年草・亜灌木または一年 草で、日本には江戸時代末期に導入され、ニガヨモギの和名がある。ヨモギや料 理用ハーブのタラゴンなどと同じ属の植物だが、タネのリストなどでは別に書か れている。英名は以前衣服の虫除けにこの草をしおりのように布の間に挟んで使 ったことによる。1m位になり、葉は羽状複葉で長さ15cmくらいになる。花は夏に 咲き小さい黄色または黄緑色の頭状花で、花そのものはあまり観賞価値がない。
  
 ニガヨモギ Artemisia absinthium 英名 wormwood 亜灌木。羽状複葉の葉は 全体に白い毛が生えていて、英語ではold man(おじいさん)の別名がある。葉 に独特の刺激臭があり、又全草に強い苦みがある。フランスなどで生産されるア ブサンという、アルコール度数が60%以上ある蒸留酒の香味付けに用いられて いるためにこの種名がある。また、イタリアなどで生産されるベルガモットとい う食前酒用の薬草を漬け込んだワインの香味付けの材料としても使われている。
 アヌア Artemisia annua 英名 sweet wormwood 草丈1.5m位に生育する一 年草。葉は濃緑色で、前種に比べて香りがおとなしい。種名は「一年草」。
  栽培
 一年草のアヌアは春の彼岸頃に種をまいて増やすしかないが、多年草のニガヨ モギは種まきのほか、春先に株分けをしたり、5月頃に新しく伸びてきた枝を挿 し木して増やすことができる。元来順応力の強い雑草なので、日向または半日陰 の砂気味の稍乾いた土地ならば、多少痩せ地でもよくできる。
  利用法
 Aニガヨモギは泌尿器系の疾患や、食欲不振、胆嚢炎や黄疸などの治療に使わ れていた。しかし毒性が強いので短期間に少量使うだけで、妊婦や子供への投与 は危険といわれていた。キッチンハーブとしての使用は不可。アヌアの方は鼻血 や血液系の疾患の治療に使われている。
B工業的にはアブサンなどの香味付けに使われている。ハーブを使ったクラフ トなどに利用する。
Cニガヨモギは葉が白くて美しいので、花壇の縁取りや切り花に利用する。

    ワサ 

   アブラナ科ワサビ属
     Wasabia japonica   (Cruciferae)
  英名 wasabi
 日本の中部山岳地帯の谷川などに自生する多年草で、静岡・長野などの清流 のある冷涼な地帯で栽培されている。根茎は白または薄い黄緑色の多汁質なもの で、葉の落ちたあとがある。根生葉は大きいハート形で長い柄がある。春に短い 茎を伸ばし、下のほうには小さな葉が互生し、茎の先や葉腋にまばらに白い菜の 花状の花を付ける。属名は見てもわかるように、日本語の「ワサビ」から、種名 は「日本産の」の意味。同属の植物にユリワサビがある。
  栽 培
 日本原産だが、非常にデリケートな植物で、家庭で栽培するのは不可能である 。静岡・長野などの山間部の、清冽な泉のあるところで、「わさび田」が作られ、栽培されている。
  利用法
@ 根茎をすり下ろして、料理の薬味として使われるが、たまに高級青果店などに 出回る他は料亭などに回されることが多い。芳香成分が揮発性で、保存が利かな いため、「わさび」として出回っているチューブ入りのものは、すべて次項のわ さびだいこんの加工品である。

    ワサビダイ コン

   アブラナ科ワサビダイコン属
    Cochlearia armoracia  (Cruciferae)
  英名 horse-radish
 ヨーロッパなどに原産する寒さに強いが暑さにやや弱い多年草。「練りわさ び」など、家庭用の薬味として販売されているわさびは、ほとんどが輸入品のワ サビダイコンの加工品である。また最近は、根を乾燥して粉にしたものがスーパ ーやデパートのスパイス売場に「ホースラディッシュ」として売られている。根 茎は大根に似ていて、長いものでは60p以上に達する。葉は根生で長く、緩や かな鋸歯状の切れ込みがある。草丈60pほどになり、5月頃に菜の花に似て白 い花を咲かせる。属名は「匙」の意味で、葉が匙の形に似ていることから。種名 はこの植物のギリシャ語の古名に由来する。
  栽培
 日本ではほとんど栽培されておらず、種苗も出回っていないと思われる。根伏 せといい、根茎を5pくらいに切り取ったものを、50p以上に深く掘って耕し た所に植え付ける。
  利用法
B日本のワサビの香りと辛みの成分はほとんどが揮発性で、加工や貯蔵により 風味が飛んでしまうが、ワサビ大根は風味がやや劣るものの揮発が少なく、チュ ーブ入りの練りワサビなどに配合されている。

 

 ワサビノキ

 ワサビノキ科ワサビノキ属
     Moringa oleifera   (Moringaceae)
  英名 horseradish tree
 ワサビノキ属Moringaは、ワサビノキ科の唯一の属で、インドシナからインド・アラビア・マダガスカル及び熱帯アフリカに合わせて14種分布している。ワサビノキは熱帯アジアに分布する寒さに弱い落葉高木で、樹高8〜15bになる。幹は直立し、葉は羽状複葉で、多肉質である。花は次々に咲き、総状花序で、淡黄色で、上の花弁は白っぽく、芳香がある。そのあとに長い円筒状の鞘のある果実をつける。属名はマレー語から。種名は「オリーブのような」の意味。葉にワサビダイコンに似た香りがあり、また、根はスパイスとして用いられるため、英語でhorseradish treeと呼ばれ、それが日本語に訳されてわさびの木になったが、日本のアブラナ科に属するわさびとは無縁の植物である。
  栽培
 熱帯性の植物で、最低気温が15℃以上ないと栽培できない。また樹高がかなりあるので、よほど大きな温室がないと、栽培は難しい。繁殖は新しく出てきた枝を挿し木するか、種を取り播きにして行う。日向の、砂質壌土を好む。
  利用法
@多肉質の葉と、サヤインゲンに似た未熟の果実は、野菜として利用できる。成熟した種は、炒ってナッツとして食べることができる。根は、ワサビダイコンに似たか折戸から実があり、スパイスとして用いる。
A胸焼け、消化不良、胃潰瘍、などの消化器系の疾患や、胆石、腎臓結石、膀胱結石。さらに虫さされや蛇にかまれたときなどに用いられ、かなり広い範囲に用いられた薬草だった。
B種から取れる油は、サラダ油など食用になるほか、絵の具・塗料・化粧品・石鹸・南港などの原料として利用される。材は工芸品に利用され、樹皮からは良質の支部が取れる。

   ワタ 

   アオ イ科ワタ属
    Gossypium sp.  (Malvaceae)  
  英名 cotton
 世界の温帯から熱帯地方にかけて39種が分布している。寒さに弱い多年草 または灌木で、インドやエジプトでは紀元前から栽培されていたという。17世 紀以降はヨーロッパ帝国主義の植民地になったインドや東南アジアで栽培が盛ん になり、さらに18世紀にはアメリカ南部で栽培が盛んになった。毛唐どもがア フリカ人民を奴隷として大量にアメリカに運んだのは、トウモロコシと綿花の栽 培に多くの人手が必要だったからと言う。日本には戦国時代に渡来し、一時は暖 地を中心にかなり栽培されていたが、戦後東南アジアなどから安い綿花が入って きたため、日本での営利栽培は消滅した。草丈は1m前後になり、葉は羽状または 掌状の複葉になっている。夏から秋にかけて、花径10cmくらいの大輪の5弁花を 開き、白または黄色で美しい。花の咲いたあとできる果実は、途中で破裂して、 文字通り真綿のような白い繊維にくるまれている。これを採取して紡ぎ、さらに 織ったものが木綿で、化学繊維が増えた現在でも繊維の主流になっている。属名 は古いラテン語から。
  種
 キワタ Gossypium arboreum インド原産の寒さに弱い灌木で、樹高4mくらいになる。 葉は5枚から7枚の小葉に分かれた羽状複葉である。花は赤紫、または白。熱帯 地方で栽培されているが、日本での栽培はできない。観賞用に栽培される紅花綿 は、この種を一年草として栽培したものと思われる。
 ワタ Gossypium herbaceum インド原産だが、紀元前5世紀にはすでにエジプトや中 国で栽培されていたという。短命な多年草または亜灌木だが、一年草として扱わ れる。花は夏から秋にかけて咲き、ややくすんだ黄色である。
  ヒルスートゥム Gossypium hirsutum 中南米の熱帯地方原産の寒さに弱い樹高2bくらいの灌木。園芸上は一年草として扱う。葉は大きく、掌状に三つに裂けている。花は夏の終わりから秋に先、明るい黄色だが、だんだんピンクに変色していく一日花である。種名は「毛の生えた」。 
  栽培
 発芽温度が高いので、暖地でも種まきは5月になってからの方がよい。50cm くらいの畝を作ってタネを筋まきにし、覆土を5oくらいしておく。発芽してき たら株間30cm〜40cmになるように間引いてやる。暑さには非常に強く、排水 のよい土地ならよく栽培できる。
  利用法
Aタネの油は、男子の避妊用に役に立つのではないかという研究が進んでいる ようだ。
Bタネの周りにある綿毛を集めたものを糸の紡いだものが木綿糸で、今でも繊 維の主流である。またタネを絞ってえられる綿実油は、癖がないので、揚げ物な どの料理に使われる他、マーガリンや石鹸の原料としても重要である。綿の黄色 い花は、草木染めにも使われる。
C紅花綿は観賞用の一年草としてタネが売られていて、赤紫の大輪の花が美し いばかりでなく、果実がはぜて綿が飛び出したものを切り花や生け花などに利用 する。