パ−スニップ シソ科アメリカボウフウ属
Peucedanum sativum(Pastinaca sativa)
Umbelliferae
英名 parsnip 和名 アメリカボウフウ
同属植物はユ−ラシア・北アフリカおよび南北アメリカ大陸に、100種以上分布しており、ほとんどが草本だが、灌木やまれに喬木もある。パ−スニップは、シベリアからヨ−ロッパに分布する一年草または二年草で、ブリテン島やロシアまで分布しているため、寒さには強いが、高温多湿にやや弱い。属名が古いギリシャ語に由来することからもわかるように、ギリシャ・ロ−マ時代から野菜として栽培され、16世紀に南米原産のジャガイモが紹介されるまでは、でんぷん質や糖分を含むため、かけがえのない野菜だった。その後はマイナ−な野菜となり、日本でもほとんど知られていないが、20世紀後半になって、ダイエット用食品として見直され、また、発ガン物質を押さえる働きがある野菜としても注目されている。草丈1b前後になり、茎は中空、葉は、長い柄のある根生葉で、二回または三回羽状複葉、糸のように細く切れ込み、にんじんに似ている。花はごく小さい五弁花で、夏に咲き、淡黄色。セリ科特有の散形花序である。食用にする根は、逆円錐形で長さ30〜50cm。一番太い部分では直径10cmくらいある。色はほぼ白に近い淡黄色。かなりの甘みがある。種名はラテン語で「栽培される」の意味。
栽培
根が深く張るので、第一によく耕され、60cmくらいの深さまで石ころなどの異物がないようにしておかなければならない。そうした意味では家庭菜園にはむかない作物である。畑に幅80cmくらいの畝を作り、特に水はけのいいところを好むので、高畝にする。種は4,5月に蒔き、筋蒔きにして2ミリほど覆土し、発芽したら徐々に間引いて、株間を25cmくらいにする。真夏も、乾いたら水を遣る程度でよく、多湿では病害虫が出やすい。寒さに十分当ててから収穫した方が、糖度が上がっておいしくなる。
利用法
@大根やにんじんなどと同じように料理に使う。ゆでてサラダに入れたり、煮物、ス−プの実などに利用できる。
Aダイエット洋食品に。最近、抗酸化作用があるとされ、がんの予防に役立つ食品として注目されている。
バラ科ワレモコウ属
Sanguisorba minor (Rosaceae)
和名 オランダワレモコウ 別名 サラダ・バーネット 英名 burnet
南ヨーロッパから北アフリカに原産する比較的寒さに強い多年草。この属の
植物は北半球に30種以上が知られ、我が国にもあるワレモコウSanguisorba
officinalis は、古くから婦人の病気、いわゆる「血の道」の薬として知られていた。草丈
は70cmくらい、葉は歯車のような切れ込みのある葉が何枚かで複葉になってい
て、キュウリに似たさわやかな香りがあり、少しほろ苦い。初夏に小さな白っぽ
い花を球状に咲かせる。霜が降りるとロゼット状の根生葉だけが残り、越冬する
。昔収斂剤として用いられたことがあり、属名は「血液を救う」という意味。種
名は「小さい」。
種
上記の他に、次の種のタネが手にはいる。
ワレモコウ Sanguisorba officinalis 日本や英国を含む、北半球の温帯地方に広く分布する多年草で、草丈60cmから2bくらいになる。葉は奇数羽状複葉で、照葉は楕円形で短い柄がある。初秋に蕚片がくすんだ赤紫の花を咲かせる。種名は「薬用の」で、根を地楡(ちゆ)といい、民間薬として止血剤・収斂剤に用いられていた。漢字では我木香、吾亦紅などと書かれるが、当て字である。
ナガバノシロワレモコウ Sanguisorba tenuifolia 中国から日本にかけて、原野のやや湿ったところに生えている多年草。名前の通り、葉は葉柄が長く、照葉も細長い。亦花弁のない花は、蕚片が白く、葯が黒い。、
栽培
日当たりと水はけのよい土地を好み、痩せ地でもよくできる。4月か秋の彼岸
頃にタネをまき、2ミリ程度覆土しておくとよく発芽する。後は生育に任せてお
けばそれほど手が掛からない丈夫な植物である。
利用法
@春から夏にかけて、伸びてきた葉をつみ取って、生でサラダなどに利用する。
多少苦みがあるがさわやかな味わいで、ビタミンCなどが豊富な緑黄色野菜であ
る。
ミソハギ科ミソハギ属
Lythrum sp.
(Lythraceae)
英名 purple loosestrife
北半球の温帯地方と、低緯度地域の高山、高原に30種以上が分布している。寒さに比較的強い宿根草または小低木で、やや湿った土地や水辺などを好んで生育している。草丈50〜150cm、長い地下茎を持つものが多い。茎は直立して角張り、稜に翼のあるものもある。葉は対生または輪生。花は夏に咲き、栽培品では大きな集散花序になり、花色は藍色、紫などだが、ピンク、赤、藤色、まれに白の品種もある。日本では時々ミソハギのタネが売られ、また欧米ではエゾミソハギのタネが売られている。ミソハギの方はお盆にお墓に供えるために、農家の庭の片隅などで栽培されていることが多い。属名は「どす黒い血」の意味で、一部の種にそのような色の花が咲くことから。
種と品種
ミソハギ Lythrum anceps 日本の各地の山野や水辺などに自生している寒さに強い多年草で、切り花用に栽培されている。高さ1bくらいになり、葉は被針形で無毛、花はややまばらで赤紫。種名は「両刃の」。
エゾミソハギ Lythrum salicaria アジアからヨーロッパの温帯からやや寒い地方に広く分布する草丈1〜1.5bの多年草。かつては下痢止めなどの薬草として利用されていたが、見事な花穂をつけるため、現在は観賞用として栽培され、花壇・切り花用の品種がいくつかある。葉が非常に細く、種名も「ヤナギのような」の意味である。花は紫の他、赤やピンクの種があり、花穂は前種より大きく密である。
栽培
世界のかなり広い地域に分布しているだけあり、寒さに強く、栽培しやすい。タネはソメイヨシノが散り始めたころにまき、2mmほど覆土する。発芽に1〜2ヶ月かかるので、その間に乾かさないように注意する。ある程度の大きさになったら、株間が40cmくらいになるように定植する。開花は翌年の夏からになる。日向から半日陰の、やや湿ったところを好むが、普通の土壌でも十分に成育する。梅雨明け後の乾燥機に、土が乾きすぎないように注意する。
利用法
@若い葉や花は、サラダなどにして食べることができる。
A激しい下痢を伴う病気、赤痢・疫痢・コレラなどの治療に用いられていた。
C花壇の背景や、家庭用の切り花に栽培される。特にミソハギはお盆の佛花として知られている。
シソ科ギリアドバルサム属
Cedronella canarienssis (Labiatae)
英名 balm of Gilead
種名が示しているように大西洋のカナリア諸島に原産する寒さにやや弱い常
緑の亜灌木で、高さ1.5mくらいになる。茎は四角く、葉は対生して長さ10cm以上
になり、被針形で裏に粗い毛が生えている。全草にじゃこうのような、あるいは
針葉樹を思わせる甘くてさわやかな香りがあり、属名は「杉の木のような」の意
味で、香りが杉の木の葉に似ていることから名付けられたという。花は夏の終わ
りに咲き、薄いピンクがかった藤色で、小さな唇形花が数輪から十数輪放射状に
咲く。寒さに弱いほかに、高温多湿にも弱く、日本の屋外では栽培しにくい。
栽培
霜がほとんど降りない地方なら屋外で栽培できる。日当たりがよく排水のよ
い土地を好むので、路地で栽培するとき畑を高畝にして砂利や砂などを入れて排
水をよくしてやる。タネは4月に鉢などに播き、タネが見え隠れする程度に覆土
する。高温多湿では病気が出たり立ち枯れしやすく、栽培しにくい。4月ころに
株分けで増やすことができる。
利用法
@葉を乾燥してお茶として飲むことができる。
B葉を乾燥してポプリに加え、じゃこうのような材木のような香りを楽しむの
に用いられる。
アオイ科フヨウ
属
Hibiscus rosa-sinensis (Malvaceae)
和名 扶桑花(ぶっそうげ)
今やハワイのシンボルとして、レイの花としてあまりにも有名になっている
が、中国南部からインドにかけて分布している常緑低木で、寒さには弱い。植物
のなかにはこのように有名になったところと原産地が違うものがかなりあり、例
えばチューリップはオランダが有名だが原産地はトルコで、名前もトルコ人たち
がかぶるターバンに由来している。また、今やごくありふれた果物として日本で
も栽培が行われているキウィは、ニュージーランドではなく中国が原産で、和名
は何と猿梨(さるなし)である。ハイビスカスは樹高1.5〜3bになり、幹は
直立し、葉はやや幅が広い卵形で、長さ8cmくらいである。花は適温であればい
つでも咲き、大輪の5弁花で、大きなものでは直径20cm以上にもなり、つぼみ
の時は紫色を帯びた赤だが、開くと赤・白・黄色・オレンジやピンクなどになる
。花の色は非常に鮮やかで、芯の部分は赤いものが多く、いかにもトロピカルな
雰囲気の植物である。日本では温室または室内用の高級鉢物として出回っている
が、ハーブとしてはつぼみを乾燥させたものが、ハーブティーとして利用されて
いる。
品種
各種花色の物の他に、葉に斑入りのあるものも欧米では出回っているが、国
内ではなかなか思ったような品種が手に入りにくい。
栽培
冬でも最低8℃くらいが必要なので、暖地の機密性のある家なら、夜間に室
内に持ち込めば越冬できるが、普通は温室がないと越冬できない。6寸くらいの
素焼きの鉢に、普通に土にたい肥か腐葉土を2割くらい混ぜたもの、あるいは市
販の培養土で植え付ける。鉢植えとして買ってきたものは、年に1回5月ころに
一回り大きめの鉢に植え替えてやる。なるべく日光に当ててやると花がよく咲く
。葉ダニやアブラムシなどの害虫が付きやすいので、見つけ次第適当な農薬をか
けて駆除してやらなければならない。増やすには、6月ころに出てきた新しい枝
を切り取って砂などに挿し木してやると、よく発根する。
利用法
@つぼみを乾燥させてものが、ハーブティーとして売られている。数分間煎じ
ると、濃いめのロゼ(ピンク)ワインのような色になり、さわやかな香りと甘酸
っぱいさっぱりした味わいのお茶になる。なお、ティーはなぜかハワイではなく
エジプトなど中近東のものが多いようだ。
A花は、鎮痙剤として活用されていた。
C高級鉢物として人気が高い。色合いの派手な大輪の花は、いかにも熱帯植物
といった風情がある。
ハコベ
ナデシコ科ハコベ属
Stellaria media (Caryophyllaceae)
漢字名 繁縷(煩労) 英名 stitchwort
同属植物は世界に120種以上あり、温帯地方と熱帯の高山帯に分布している。日本にも十種以上があり、うしはこべ、やまはこべ、さわはこべなどのほか、「のみのふすま」という面白い名前の植物もある。乾燥したところから湿ったところまで、また日向からかなり日陰のところまで生えている性質の強い雑草で、特に酸性土壌の関東地方では多い。外国産のものには多年草や、草丈が1b近くになるものもあるが、日本でハコベと呼ばれているものは、二年草で、草丈10〜30cmくらい、茎は華奢で、下部では横にのび、節のところで折れやすい。葉は対生し小さく濃緑色である。花は初夏から6月頃に咲き、直径3mm程度の五弁で、それぞれの花弁に裂け目があり白い。属名は「星のような」の意味だが、花の形に由来する。日本のものはあくまで雑草で、観賞価値は全くないが、ヨーロッパ産のものは花径が3cm以上のものもあり、“エーデルワイス”のような趣がある。
栽培品種
ここにはふつうのハコベと欧米でワイルドフラワーとして栽培されているものを掲載した。
ハコベ Stellaria Media ハコベラ、コハコベともいう。日本でごくありふれた雑草であるばかりでなく、北半球の広い範囲に分布しており、ヨーロッパでも古くから外科用の薬草として用いられている。
ホルステア Stellaria holstea ヨーロッパの広い範囲に分布している寒さに強い草丈15〜90cmくらいの多年草。身近な野の花として親しまれ、greater
stitchwort, Adders' meat, satin flower, moon flowerなど十種類以上の名前がある。草姿は日本のハコベを一回り大きくしたような感じだが、花は直径2.5cmくらいあり、花壇の縁取りやロッケリー用の草花としても利用されている。
栽培
日本の繁縷は繁殖力旺盛な雑草なので、庭に植えない方がよい。ヨーロッパ産のホルステアは、秋まきの短命な多年草として扱う。秋の彼岸頃に浅鉢に巻き、ごく薄く覆土する。苗が込んできたら、間引くか仮植えし、厳しい寒さがこないうちに花壇などに20cmの間隔で植え付ける。元来順応性の強い野草なので、比較的作りやすい。
利用法
@春の七草の一つで、近年はほかの草と一緒に七草のセットとして販売さえることがある。葉緑素が多いので、栄養価はあるだろうが、野生品は筋っぽく、あまりうまいものではない。
A欧米では、消炎剤や痛み止めとして、軟膏などに配されて利用されてきた。日本や中国では、民間薬として、消炎剤・催乳剤などとして用いられ、戦前には盲腸(虫垂炎)の特効薬としてもてはやされたこともある。。また、かりかりに炒って水分をとばしたものと食塩を等量に会わせたものをはこべ塩といい、歯磨き粉として用いると、歯槽膿漏の治療や口臭の予防に役立つとされている。
B英語でChickwortというのは「ひよこの草」の意味で、カナリヤ・文鳥・インコなどの小鳥やウサギなどのえさとしてよく利用されている。
Cホルステア種は、花壇の縁取りやロックガーデン用の草花として、観賞用に栽培される。t
シソ科メボウキ属
Ocimum basilicum (Labiatae)
アジア・アフリカの熱帯地方と太平洋諸島原産の一年草。イタリア語のバジ
リコbasilicoの名でも親しまれ、葉を乾燥した物がスーパーで販売され、パスタ
料理には欠かせないハーブである。ハーブの王様とも呼ばれるように、世界中で
栽培され、それぞれの地方や料理に合った品種が作り出されている。一つの種で
これだけ香味にヴァリエーションのある植物はほかになく、バジルから抽出され
る化学物質には、クローヴ・アニスや八角の香り・シナモン・レモン・タイムか
らオレンジ・バラ・ライラックの花の香りの成分まで含まれている。その数は悠
に百を越えると言われ、そのうち20種類ほどが国内で種子として入手できる。
草丈は50cm前後で直立し、葉は長さ5cmの細長い卵形で、スイートバジルと呼
ばれる最もポピュラーな品種では、クローヴに似た強い香りがある。花はシソと
同じ唇形花だが、非常に小さく五つくらいが放射状に集まり、それが穂状に集ま
って咲く。花色は白か薄紫で7〜8月に咲く。和名は、江戸時代に初めて中国か
ら伝来したとき、種子を浸した水で眼を洗ったため、眼箒(めぼうき)と名付け
られたという。属名は古いギリシャ語名から。種名は「王様のように立派な」と
いう意味。
主な品種
アニス anise
中華料理に使われる八角のような香りがある。ペルシャの原産とされて
いて、大柄で葉の色は赤ジソのような紫で、花は美しいピンクで、花壇の観賞用
にも向く。
イタリアン・ラージ Italian large
やや大柄で、香味がスイートよりおとなしい。
カーリー curly
ナポリタンともいい、後述のジェノヴァより香りがおとなしい。葉は大
きめだが縮れている。
グリーク Greek
ギリシャ料理に使われる小柄の品種。香味が強い。
グリーンラッフルズ green ruffles
葉が大きく柔らかくてウェーブがあり、風味がおとなしいので
サラダやサンドウィッチに使える。白花種
シナモン cinnamon
ニッキのような香り。手作りのお菓子やティーにも。メキシコで好
まれ栽培されている。葉はやや紫色を帯びている。
スイート sweet
最もポピュラーなもので、正露丸に似たような香りがある。慣れると洋
風料理には欠かせないもので、最近はマーケットの野菜売場などでも見かけるよ
うになった。
タイム thyme 次の「 バジルタイム 」を参照。
タイスイート タイやベトナムなどで作られているもの。エスニック料理の香味付けに使われ
る。
ダーク・オパール dark opal 50年代にアメリカのコネチカット大学で作出されたもので、濃い
赤紫の葉で非常に香りが高い。花は濃いピンクで房が大きく、バジルの中ではも
っとも観賞価値がある。ただ性質は緑葉種よりもやや弱い。
パープルラッフルズ purple ruffles
赤紫色の縮れ葉で、香りはややおとなしい。花も赤紫である
。
ブッシュ bush
普通のバジルと別種とされることもある。茎の下の部分は木質化するが
草丈は30cmくらいと小柄で、葉が密生し、花は白い。
ホーリー holy
インドの品種で、仏教やヒンドゥー教の儀式によく炊かれるお香のような香
りがすることからこの名前がある。
レタスリーフ lettuce leaved 草丈60cmくらい。葉がやや大きく厚みがあり、香りが強い。
レモン lemon
小柄で葉は淡い緑色。レモンの香りがする。
栽培
昨年のこぼれ種でもよく生えて生育するほど丈夫な性質で、日本で栽培できる
ハーブの中ではもっとも手間いらずの部類に属する。ただし亜熱帯地方が原産な
ので、低温では発芽せず、暖地でも4月下旬になってから播いた方がよい。花壇
などに30cm間隔の筋をつけてタネをばらまきし、2mmくらい覆土しておくと、1
週間くらいで発芽する。鉢や苗床に播いて定植することもできる。水はけと日当
たりのよい土地なら、よく生育し、暑さにも強い。6月から10月頃まで葉を摘
み取って利用することができる。
利用法
ある程度の大きさになったら生の葉を摘んで利用し、花が咲いてきたら抜き取
って日陰干しにして乾燥品にする。料理の香味付けの他、ヴィネガー(ワインで
作った酢)やオイル(主にオリーヴオイル)などにつけ込んで楽しむことができ
る。
シソ科アキノス属
Acinos arvensis (Labiatae)
英名 basil thyme
形がタイムによく似ているためこの名前があり、種苗商の中にはカタログの
バジル、またはタイムのところにその一種としてこの植物を記載していることも
あるが、別属の植物で、やや刺激的な辛みはあるものの香りはほとんどなく、キ
ッチンハーブとしては無価値なものとされている。ヨーロッパの地中海沿岸など
の日当たりのよい乾いた斜面に自生していて、10種ほど知られている。また、
カラミントと同じ属の植物として扱われることもある。寒さに比較的強い越年姓
の1年層、2年草または短命な多年草で、茎は地上をはって伸び、草丈15cmほど
で葉は小さい。夏から秋にかけて小さいながら鮮やかな紫で、真ん中が白い唇形
花を数輪まとめてつける。属名の由来は不詳。種名は「畑で栽培される」。
栽培
日当たりがよいやや乾燥した弱アルカリ性の土壌を好む。タネは寿命が短く
、こぼれ種でよく生えるが一年経つと発芽しにくくなるので、夏の終わりに取れ
た種を秋の彼岸頃のまく。比較的細かいタネなので、鉢に播いて覆土せず下から
吸水させるか、苗床に播き、タネが見え隠れする程度に覆土しておくと発芽する
。秋にさし眼で増やすこともできる。
利用法
A利尿剤として用いられたほか、息切れ、神経症、歯痛の薬としても使われて
いた。
C花が美しいので、ロックガーデンなどに植えるとよい。
セリ科オランダゼリ属
Petroselinum crispum (Umbelliferae)
和名 オランダゼリ 英名 persley
戦前から豚カツや刺身の付け合わせまたは彩り用としてなじみ深いハーブで
、小さな花屋などでも苗を売っているのを見かけるほど身近な植物である。地中
海沿岸に原産する寒さに強い2年層で、草丈50cmくらい。葉は細かい切れ込み
がある複葉で、濃緑色で光沢がある。花は2年目の秋になって咲き、小さい黄緑
色の傘状の花で、その後に種子をつけて枯れてしまう。従来からある縮れ葉の品
種は、モスカールと呼ばれる系統の、パラマウウントといアメリカで改良されて
品種で、暑さにも強い。最近プレーンまたはイタリアンと呼ばれる葉がちぢれて
いない品種の種子も手にはいるようになり、こちらは魚料理の香味付けに、ロー
レル(ゲッケイジュ)やフェンネルの葉とともに、ブーケ・ガルニとして用いられる。属名は「岩に生えるセロリ」の意味。
種名は「縮れている」。なお、書物によってはいわゆるプレーン種にhortenseと
いう別の種名を与えている物もある。これは「園芸」を意味するhorticultureの
前半のhortiと同じ語源で「庭の」。
品種
モスカール moss curled
いわゆる縮れ歯の品種。イギリスやアメリカでは日本と同じよう
にパセリは付け合わせの植物といったイメージが多いようだ。今までのパラマウ
ント種の他にダーキーという葉の色の濃い物がある。
プレーン plain イタリアンともいい、葉が縮れておらず、香りが上品だといわれる。
パラマウントに比べ、暑さにやや弱い。料理の香味付けに用いる。ただし慣れな
いと生の葉は少し青臭い感じがする。これと同じ系統に「ハンバーグ・ペロ」と
いうドイツ系の品種があるが、これは地下茎を食べる品種で、日本では栽培しに
くい。
栽培
種まきは春の彼岸頃と秋10月頃。種子が十分にあれば直播きして3ミリほど
覆土する。鉢に播いて小苗の内にポットに植え、定植してもいいが、大きな苗は
移植がきかない。発芽率はあまりよくなく、また発芽に半月から3週間かかる。
セリ科なので、緑とKの縞模様のアゲハチョウの幼虫や、貝殻虫が付きやすいの
で、見つけ次第捕殺する。
利用法
生の葉を摘んで、付け合わせの他に煮物などの香味付けやサラダに使う。乾燥
して保存することもでき、乾燥品を粉にしたものがスパイスの売り場で売られて
いる。
ハトムギ イネ科ジュズダマ属
Coix lacrymo-jobi
(Gramineae)
漢方名 薏苡仁
インドから東南アジアに産する春播きの一年草。植物学上は、暖地の草原などに自生しているジュズダマの変種とされている。ジュズダマ(数珠玉)は、種皮が琺瑯のようにかたく、指で押したくらいでは容易に壊れないので、昔これを小さな布の袋に入れて、女の子がお手玉にして遊んだことからこの名がある。同属植物は6種あり、東南アジアのやや湿ったところに生えており、一年草のものと多年草のものがある。ハトムギは、草丈1b以上になり、葉は互生し、幅1cmくらいの被針形で、付け根は蘆のように鞘状になっている。花は雌雄異株で、夏に咲き、雄花は数個が穂状に咲き、雌花は涙形の堅い苞に包まれ、その先に柱頭が2本出ている。英語ではJob's
tear(ヨブの涙)と言うが、これは種名を翻訳したもので、筆記体でヨブをJobと書くと、少し左に傾けると涙の粒がつながったように見えるため、ぽろぽろと出てくる涙をそう呼ぶようになった。旧約聖書に出てくるヨブは、様々な神の試練に耐えたため、「我慢強い人」の代名詞になっているが、涙もろかったわけではない。書いたものを天地を逆さにしても同じように見えるところからできた言葉遊びである。属名は、蘆の仲間を表すギリシャ語名から。。
栽培
春の彼岸を過ぎたころ、日当たりがよく、夏にあまり乾燥しない土地を選んで、畝を作ってタネを筋蒔きし、1cmくらい覆土する。発芽してきたら間引いて、株間を20cmくらいにする。病害虫はあまりなく、比較的栽培は容易な植物である。
利用法
@ハトムギ茶として売られているのは、薄い種皮が付いたタネを炒ったものである。ティーバッグ式のものが多く、急須に入れて振り出して飲むことが多いようだが、麦茶などと同じく、やかんで少し煮出して飲んで苞が、芳ばしいし、成分も欲抽出できる。その他、精白したものを単独、または米に混ぜて炊いて食べることもできる。
A漢方では、種を精白したものを薏苡仁(よくいにん)と言い、後漢末に書かれたとされる傷寒論に、薏苡仁を使った数多くの処方が期されて降り、1世紀の中頃の仏教と相前後してベトナム方面から中国に入ったものとされている。薏苡仁の主な作用は、利水で、むくみ、ニキビ、腫れ物などを治める働きがあるとされ、そこから肌を美しくする薬草とされるようになった。その他に胃腸を丈夫にしたり、下痢止め、さらに虫歯を予防する働きもあるとされている。
B50年代までは、ジュズダマのタネを10cm四方くらいの布の袋に縫い込んだものをお手玉または数珠玉といい、2,3個を手でもって空中に投げ上げて遊ぶのが、女のこの間で行われていたが、現在はなくなってしまったようだ。
C涙が谷垂れ下がった穂がおもしろく、鑑賞用や生け花陽などにも栽培されてい
ミソハギ科サルスベリ属
Lagerstrpomia speciosa (Lythraceae)
英明 Queen's flower(そのほかに少なくても10種ほどの別名があると言われている
和名 オオバナサルスベリ
近年の健康食ブームで、健康茶として大変人気のある植物である。健康茶の中にはひらがな系(日本の民間薬)、漢字系(漢方起源)、カタカナ系(熱帯地方や欧米など)があるが、現在カタカナ系の中では最も有名な者と思われる。
日本で庭木として親しまれているサルスベリと同属植物。東南アジアからインドに欠けてとオーストラリア北部などに分布し、熱帯地方では常緑だが、性質が比較的強く、日本の暖かい地方なら落葉樹として栽培できる。樹高10〜20bになる厚朴で、樹形は横にも広がり、こんもりした形になる。葉は長さ10〜20cm、幅5〜10cmの、やや細長い楕円形、灰色を帯びた緑色で革質である。花は直径7cmくらいのピンクまたは藤色で、花弁は波を打っている。円錐花序だが花は普通数輪である。花は美しく、また比較的若い木でも花をつけるので、園芸植物として利用価値の高い植物である。
栽培
日本ではあまり入手でき兄が、英米の種苗店はこの植物の種は比較的ポピュラーで、インターネットでも入手可能である。タネは5月こりに浅鉢に蒔き、2mmほど覆土する。発芽までに3週間くらいかかるので、その間乾かさないように注意する。本場が4枚くらいになったら、一度仮植えし、翌春暖かくなったら、6寸くらいの鉢に抵触するか、花壇などに植え込む。樹高がかなり高くなるが、生育はそれほど早くない。日当たりと排水が好いところを好み、団地であれば落葉の花木としておく害で栽培することもできる。また、その他の地域でも、鉢植えにすれば室内植物として利用できる。
利用法
Aハノイ行く含まれているコロソリン酸という成分が、糖分の代謝を押さえる働きがあるとされ、糖尿病の治療・予防薬およびダイエット食品として注目されている。マグネシウム、亜鉛などのミネラル分も多く含まれており、高血圧の予防や美容効果など、様々な効果がうたわれているが、かなり眉唾物の効能書きも多いので、あまり期待しない方がいいと思われる。
C美しい花を咲かせる花木として、もっと利用したい植物である。温室での鉢植え栽培や団地の花木として利用できる。
ナス科トウガラシ属
Capsicum annuum (Solanaceae)
和名トウガラシ 別名 なんばん 英名 red
pepper
別名チリ・ペッパーと呼ばれるように、南米の原産で、10の原種と、5つ
の栽培種がある。15世紀までは南米の原住民の料理に使われているだけだった
が、コロンブス一行によってヨーロッパに持ち込まれた。その後タバコとともに
世界中に普及した。日本にも当時イスパニアの領土だったルソン島から堺の商人
などを通じて輸入された。地方によって「ナンバン」と呼ばれるが、これは当時
南蛮人と呼ばれていたスペイン人やポルトガル人から買った物という意味である
。さらにそれが朝鮮半島に渡って朝鮮料理には欠くことのできない調味料になっ
た。原産地では灌木状になるところもあるようだが、一般には春播きの一年草で
、種名は「一年草」の意味。草丈・株張りとも80cmくらい。葉は細くて小さく
、夏から秋にかけて葉腋に5弁の小さな白い花を咲かせる。本来は熟した物を乾
燥させてスパイスにするが、未熟な果実を野菜として食べるピーマン・シシトウ
の系統や、矮性で様々な色の実が生る鉢植え・生け花材料用の品種もある。なお
、属名の由来については、ギリシャ語のkapto(かみつく)からとする説(実が
非常に辛いから)と、ラテン語のcapsa(箱)からとする説(中身が空っぽだか
ら)がある。
系統
植物学上は3つの種がある。タバスコがC.
frutescens(種名は「灌木状の」 の意味)で、多年草で、葉の幅が広く、花ののどの部分に紫色の模様がある。唐
辛子の中でも一番辛いハバネロという種は、C.
chinenseで、実がドングリのよ
うな形をして朱色である。そのほかは全てC.
annuumで、チェリー・レッドコー
ン・コーン・ピーマン・カイエンの5つに分類されている。
この植物は非常にヴァラエティーに富んでいて、いろいろな分類の仕方があ
るが、ここでは大きく、野菜として食べられるもの、スパイスとして扱われるも
の、観賞用に栽培されるものに分けて書くことにする。
野菜となるもの、 ピーマン、シシトウガラシなどの仲間である。ビタミンが多く、炒め物・煮物
・天ぷらなどの他、生でサラダに入れて食べることもでき、非常に便利な野菜だ
が、中身が空っぽでタネが多く、割高な感じがするのと、香りが強いので、好き
嫌いがある。 特に日本では、特有の青臭みから、子供の嫌いな食品のワースト
5に入っていて、そのために香りのない品種が中心になっているが、イタリア、
スペインや南米の品種には、かなり強い香りを持つものがある。
緑色の実がなるものを普通ピーマンといい、種苗会社ごとにいろいろな品種
が出ている。唐辛子のように長い実のものがシシトウで、天ぷらなどに利用され
る。赤・黄色・オレンジや文字通り茄子紺色の、少し大柄な実のピーマンが、最
近パプリカという名前で、スーパーの店頭などに出回るようになってきたが、オ
ランダやフィリピンなど東南アジアから輸入されたものが多い。これはピーマン
は開花後一月くらいで収穫できるが、色つきは開花後2ヶ月以上成らせておかな
いと、本来の色が出ず、光熱費や人件費などの面で非効率的だからである。
日本で売られているタネは、ピーマンとシシトウの違いの他、最近「色物」
がいくつか登場してきたくらいだが、欧米では色、大きさ、形の違う数十の品種
があり、さらに辛さについても全く辛みのないものから、スパイス用の「激辛」
まで10段階の表示付きで売られており、この植物に対する利用度の違いを物語
っている。
スパイス用の品種 普通唐辛子と呼ばれているものである。日本では「鷹の爪」と呼ばれる辛みの
強いものが良品とされ、一味や七味の唐辛子に使われてきた。長野県北部の特産
品で、善光寺の門前町で売られるものが優良品とされていた。スパイスとしては
スーパーなどで売られているが、スパイス用唐辛子のタネは、国内では売られて
いない。
キムチなど朝鮮料理に欠かせないのが、コチュと呼ばれる唐辛子の粉である
。韓国の唐辛子は、種類が非常に多く、色も朱色から赤、褐色を帯びたものまで
数十種類ある。辛みは日本のものより遙かに少ない。東京・上野の朝鮮横町で、
入手できるが、種は売られていない。韓国では普通緑茶を飲まないが、コチュが
ビタミンCの補給源になっているといわれている。コチュは半生状態なのでかび
やすく、買ってきたら冷凍室に保存する必要がある。
カイエン・ペッパー(Cayenne pepper)
パプリカ・タバスコなど、洋食や中南米料理に使われるも
のは、まとめてチリ・ペパーと呼ばれている。輸入種子を扱うところで現在20
種ほどが入手できるが、大きさは2〜20cmくらいまで、形は丸形・ハート形・円
柱・角錐などがあり、色は赤・茶色・チョコレート色、辛さも様々ある。
観賞用とうがらし 酸漿(ほおずき)のように鉢に植えて楽しんだり、切り花・生け花の材料に使
われる。実の色は赤・黄色・橙・白などで、実の形も球形や円錐、バナナ形など
様々である。一番ポピュラーなのはフリースドルフという矮性で実の先がとがっ
ている赤と黄色のみの品種。
栽培
タネは25℃以上ないと発芽しないし、低温では生育が遅いので、4月末か5
月になってから播くとよい。最近の種子は高価なものが多いので、鉢に播いて3mm
ほど覆土し、本葉が4枚くらい出てから畑に植えた方がいいだろう。連作でき
ないので、3年くらいなす・ジャガイモ・ピーマン・トマト・ペチュニアなどの
ナス科の植物を栽培したことのない、日当たりと水はけのよい有機質に富んだ肥
えた土地に植え付ける。7月から霜の降る頃まで長い間収穫できるので、元肥に
堆肥や腐葉土を十分に入れておき、生育するに従い、化成肥料を適当に与える。
適当な大きさになったら支柱を立ててやる。アブラムシなどが付くので適当に農
薬を散布する。なお、色物のピーマンやチリペパーは、実がなり始めてから2ヶ
月くらいたたないと本来の色や風味が出ない。国産のシシトウやピーマンは赤や
黄色になるまでならせておくと、辛くなったり実がこわくなったりして、食べら
れなくなる。
利用法
@ピーマンは和・洋・中華のいろいろな料理に使われる。サラダ用やパプリカ
は、身が柔らかいので、生で食べることもできる。スパイス用の品種は、普通粉
に挽いたものが売られているが、鷹の爪は細かく切って漬け物などに入れられる
ことがあるし、チリペパーは、みじん切りにしたものをバター・小麦粉と一緒に
炒め、ソースやカレー、シチューの素にする。コチュと呼ばれる韓国産のトウガ
ラシの粉は、かびやすいので、冷凍室に保存した方がよい。
C観賞用唐辛子は、鉢植えにしたり、切り花、生け花の材料に使われている。
アカザ科フダンソウ属
Beta vulgaris (Chenopodiaceae)
英名 beet
漢字名 甜菜(てんさい)
ヨーロッパ東部から西アジアにかけて分布しており、本来は多年草だが、現在栽培されているものはすべて一年草または二年草として扱われている。砂糖を取るためのもの、根を食用にするもの、葉を食用にするもの、資料用など様々な形に改良されているが亜、すべて同じ種である。根は肥大して大きくなるものと、ほとんどふつうの植物と変わらないものがある。葉は、越年するものはロゼットになるが、フダンソウでは互生し、平滑で波を打っているものが多く、葉柄がある。花は夏咲きで、小さく黄緑色のために目立たない。属名はケルト語で「赤い」の意味。次の種類がある。
フダンソウ(不断草)江戸時代初めにヨーロッパから中国を経由して導入された植物。丈夫で生育が早いため、青菜の少ない夏の野菜、特にほうれん草の代用品として栽培され、タネが売られていたが、現在では夏期でも、高原産の法蓮産が出荷されているため、ほとんど見かけなくなった。「ふだんそう」とは、年中食べられるという意味から。英国では、Bull's
blood(雄牛の血)という葉が鮮やかな赤紫になる品種が花壇用兼家庭菜園用として作られているが、暑さに弱いようだ。
食用ビーツ 肥大した真っ赤な塊根を食用にする物。国内でもタネが売られているが、北海道や高冷地などのごく一部で栽培されており、野菜としてはほとんど出回っていない。ロシアの名物料理にボルシチというスープがあるが、あの朱色と、独特の甘みはこれに由来する物で、トマトピューレによる物ではない。
てんさい(甜菜) さとうだいこん、さとうぢしゃともいう。「大根」とついていても、アブラナ科の大根とは全く関係のない植物である。コーヒーや紅茶に入れる、グラニュ糖の原料として知られ、北海道で栽培されていたが、現在はロシアやアメリカなどで大量に栽培される物の方が安価なため、現在では健康食品として、オリゴ糖が豊富に含まれている淡黄色の「てんさい糖」を取るためにわずかに栽培されている。
このyほかに英語で、seakaleというものや、spinach beetという変種があるが、日本では種苗も生産品も見られない。
栽培
フダンソウ以外は、暑さに弱い作物なので、北海道や中部山岳などの高冷地以外では、根が肥大しなかったり病害虫が出るなど、栽培には向かない。タネは金平糖状の比較的大きな物で、1dlあたりいくらという安価な物だが、発芽率はあまり良くない。秋の彼岸から10月頃に畑に畝を作り、ばらまきして1cmほど覆土し、間引いて株間を15cmくらいにする。酸性土壌と連作を嫌い、蜜捌けの良いところを好む。
利用法
@食陽池ー津はスープや煮物などに用いられる。フダンソウはほうれん草の代用品として用いられているが、泥臭いような風味で、あまり美味ではない。
B甜菜はサトウキビと並び、砂糖(蔗糖)の原料として大事な物である。特に純度の高いグラニュ糖の原料となる。砂糖を取った後のくずは家畜の飼料となるが、本来資料用に改良された品種もある。
C花壇用の観葉植物として栽培される品種があるが、高温多湿の日本では栽培しにくい。
アヤメ科ヒオウ
ギ属
Belamcanda chinensis (Iridaceae)
英名 blackberry llily, Leopard lily
日本からインドまでの東アジア地域に2種分布し、日本でも山地などによく
見られ、また、庭に植えられている寒さに強い多年草である。短く横に伸びる根
茎があり、茎は直立して草丈60cmから1bくらいになる。葉はグラジオラスな
どによく似た剣状で、密に互生し、全体が扇形に見えるところから、ヒオウギ(
檜扇)と名付けられている。花は花径5cmくらいの6弁花で、まばらな総状花序
である。原種では、花は朱色で、黒い斑点があるが、黄色・赤・オレンジなどの
鮮やかな色彩の改良種もあり、かえって欧米の方がよい品種がある。花の後にさ
く果ができ、中に真っ黒な光沢のある種子が数粒入っており、烏羽玉(ぬばたま
)と呼ばれる。属名は最初に発見されたインドの現地語から。種名は「中国産の
」。
品種
アメリカではタネをまいたその年に咲く混合のタネが売られている。
栽培
タネは早めに入手して、冷蔵庫に一月ほど入れておくと発芽がよくなる。種
まきは5月上旬ころがよく、浅鉢に播いて5oほど覆土しておくと、半月くらい
で発芽するので、5cmくらいに伸びたら、日当たりと排水のよいところに、20
センチの株間で定植する。本来日本に分布している植物なので、丈夫で栽培しや
すい。
利用法
A中国で一番古い薬の書物「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」に、射
干(しゃかん)」の名で出ており、古くからのどやせきの薬として根茎が用いら
れている。
C丈夫で美しい花が咲くので、家庭用の花壇や切り花用の草花として栽培され
ている。
シソ科ヤナギハ
ッカ属
Hyssopus officinalis (Labiatae)
英名 hyssop 和名 ヤナギハッカ
西アジアからヨーロッパの地中海沿岸地方に分布する多年草または亜灌木で
、草丈50cmくらいになる。根本からよく分枝し、被針形の小さな葉をたくさん
つける。全草に、薄荷に似るがそれよりもややおとなしくて上品な香りがある。
花は5月から6月に咲き、シソに似た唇形花を穂状につけ、花色に青紫と紅色と
白の3種類があり、色別にタネが売られている。属名は古いラテン語から。1属
1種の植物で、種名は「薬用の」の意味。この植物の正式な和名は「ヤナギハッ
カ」だが、ヤグルマハッカ(モナルダ)属のレモン・ベルガモット
Monarda citriodora
のことを柳ハッカと称してタネが売られていることがあるので、要注意。
栽培
ヨーロッパやアメリカ西海岸などでは、雑草のような植物だが、寒さに強い
反面、高温多湿には弱く、暖地では梅雨時から夏にかけて枯れてしまうことがよ
くある。種まきは暖地では秋の彼岸ころ、寒地では5月はじめくらいが適期であ
る。直接庭に筋まきし、タネが隠れる程度に覆土し、あとで株間が15cmくらい
になるように間引くか、浅鉢に播いてタネが見え隠れする程度に覆土し、発芽し
て適当な大きさになったら、15cmくらいの株間に定植してやる。乾燥した水は
けのよい日向を好む。湿りがちの土地だと根腐れを起こすことがあるので、その
ような場合は高畝にするか、栽培地に川砂を混ぜてやるとよい。
利用法
@若い葉をサラダなどに少し混ぜてやると香りがよくなる。
A以前は去痰剤として使われていた。
ビューグル
シソ科キ
ランソウ属
Ajuga sp Solanaceae)
英名 bugle
同属植物は40種以上あり、ユーラシア大陸の温帯からやや寒い地
方に分布するものが多いが、オセアニアや熱帯アフリカ、インドなどの熱帯産の者ものもある。日本にもジュウニヒトエ、オウギカズラ、キランソウなどが野草として
分布している。一般に地をはって横に広がっていく多年草で、葉は楕円形で、根
生または茎に付く。緑色のものの他にブロンズ色や白みを帯びたもの、紫のものなど
がある。花は春から初夏に開花し、シソに似た紫色の花である。
種
ジュウニヒトエ Ajuga nipponensis 以前ある人の随筆に、知り合いから十二単というのをもらって大切に育てていたが、ひどく貧弱な花しか咲かなかったのでがっかりしたということが書いてあった。植物のほうには責任はないわけで、こんな名前が付いていなければ、実に清楚で可憐な野草である。草地に生える草丈15cmくらいの多年草で、全草に白い毛が生えている。葉はへら形で、柄があり、4月ころにシソに似た藤色の花を輪生する。種名はもちろん「日本の」
ビューグル Ajuga reptans 英名 bugle
属に西洋十二単とも言う。ヨーロッパでは広い範囲に雑草として自生し、また、ワイルドフラワーとしてタネが売られ、グラウンドカバーなどに利用されている。「匍匐性の」という種名の通り、茎は匍匐して繁殖する。草丈10〜25cmくらい。花は5月から7月に咲き、明るいブルーだが、白花もある。
栽培
丈夫な植物なので、春4月ころか、秋の彼岸ころにタネをまき、手のひらで押さえて、タネが流れないようにそっと水やりしておけば、十日くらいで発芽する。株分けでも増やすことができる。苗が大きくなったら、30cmくらいに間引いてやる。日向から半日陰の、比較的排水の良い土地であれば、よく生育する。
利用法
Aヨーロッパでは、かつては薬草として非常によく用いられた植物である。葯よ7卯になるものだけでも7,8種あり、高血圧、かびによる疾病、がんから「お医者様でも草津の湯でも治らない」はずのホの字の病気に効くというのまである。ビューグルは、痛みを和らげる作用があり、主に傷薬として用いられていた。
Cワイルドフラワーとして、ロックガーデンに植えられるが、はんっひかげのグラウンドカバー用に植えても良い。
ビワ バラ科ビワ属
Eriobotrya japonica (Rosaceae)
英名 Japanese loquat
「日本産の」という種名がついているが、中国の揚子江流域が原産である。同属植物は10種ほどあるとされるが、栽培されているのはこの種だけである。楽器のびわ(琵琶)とは同じ語源だが、ビワの実に似せて楽器の方を作ったという説と、フィーファーという擬声語が楽器の方の語源で、果樹の方がこれに似ていたからだとする説がある。平安時代に渡来し、それほど手入れもいらずによく実るので、暖地の農村地帯の家庭果樹として普及した。この木を屋敷内に植えると、家にさわりがあるという迷信のある地方もあるが、これは木が常緑で葉が大きく鬱蒼と茂り、家の南側などに植えると日当たりが悪く、暗くなるからで、じゃまにならないところに植えれば、問題になることはない。樹高6〜10bくらいになる常緑高木で、若い枝には毛が生えている。葉は互生して大きく、長さ20〜30cm、幅8cmくらいの紡錘形で、濃緑色をしており、表面には葉脈にそってしわがあり、裏面は獣毛が密集している。属名は「毛が密集した」という意味で、若い枝や葉の裏に毛が多いことによる。初夏に花径2cmくらいの淡黄色の香りの好い5弁花を開き、その後に長さ5cmくらいの卵形の黄色または明るいオレンジ色のみがなる。
品種
苗で売られているものには、茂木(もてぎ)と田中がある。前者は早生で実が小さく、後者は晩生で実が大きい。売られている苗は接ぎ木苗である。英国などで売られているタネは、実が生っても小さくて酸っぱく、果樹としては向かない。
栽培
千葉県と、静岡以西の暖地で主に栽培されている。これらの地方の、適度に排水があり日当たりがよく、それほどやせていない土地であれば、放任しておいても結構よく実がなる。春先に適当なところを選んで植え付ける。樹高が10bくらいになるので、自宅や近所の家の日当たりのじゃまにならないように気をつける必要がある。葉を薬草として使う目的なら実生でもよく、食べたビワの種を庭にまいて2cmほど覆土しておくと、翌春発芽する。
利用法
@果物として6月頃に出回るが、時期が短く、また種が大きいので、日常用と言うより、病気のお見舞いなどによく使われるようだ。
A日本で多く行われている古方派の漢方では、枇杷は用いられないが、後世方派には枇杷の葉を枇杷葉(びわよう)と言い、鎮咳剤・去痰剤、食中りや暑気あたりの薬として用いる。しかし一般に枇杷の葉は民間薬の王様とも言われ、健康法としてお風呂に入れたり、この上からもぐさでお灸を炷ゑる温灸療法などにも用いられる。
C英国では、丈夫で葉が大きいため、観葉植物として用いられている。。
フェヌグリーク
マメ科レイリョウコウ属
Trigonella fornum-graucum
(Cruciferae)
英名 fenugreek 和名 ころは
アジアからヨーロッパ、アフリカ、オーストラリアに、同属植物は80種以上分布しているが、ほとんどは雑草である。一部多年草もあるが、大部分が寒さに弱い一年草である。茎は直立してほとんど分枝がない。草丈60cmくらい、葉は3つの小葉から成る。全草に特有のにおいがある。6月から7月にかけて、淡黄色の三角に見える蝶形花を開く。属名は「三角の」の意味で、この花の形から来ているという。そのあとに長さ6cmくらいの鞘の果実を結び、黄土色のタネが10粒ほど入っている。3500年ほど前のパピルス文書に、アッシリアで安産を助けるための薬草として栽培されていたという記録があり、薬草として栽培されていたが、現在は中東や地中海沿岸などで、タネをスパイスとして利用し、また東欧やアジアで、乾燥した葉や生葉をハーブ、野菜として利用している。種名は「ギリシャの馬草」の意味で、ギリシャで資料用作物として栽培されていたことにより、英名も同じである。
栽培
発芽適温が高いので、5月になってから畑に直播きする。直根性で移植はできない。酸性土壌を嫌うので、あらかじめ苦土石灰を一坪当たり200〜300グラムくらいすき込んでおく。覆土は5mmくらいにする。発芽してきたら間引いて、株間が30cmくらいになるようにしてやる。開花後、タネが成熟するのにはかなり日数がかかる。
利用法
@乾燥した葉はインドや中東などで、煮物の味付けなどに使われる。また、生葉は香辛野菜として使われている。タネを少し炒って挽いたものは、鮮やかなからし色をしており、カレーの原料などスパイスとして使われている。
Aかつては経口避妊薬、糖尿病の薬、さらにガンの薬などとしてヨーロッパではかなり広範囲に使われていた薬草であった。11世紀の宋の時代に中国に持ち込まれ、胡蘆巴(ころは・クールーパー)という名が付き、後世方派の処方に配剤されている。日本には享保年間(1716〜1736)に渡
セリ科ウイキョウ属
Foeniculum vulgare
(Umbelliferae)
和名 ウイキョウ(茴香) 英名 sweet
fennel
ヨーロッパ南部から中近東の日当たりのよい乾燥地に自生している多年草。
中国を介してかなり古い時代から日本にも伝わり、漢方薬の薬味として栽培され
た。種子を茴香といい、去痰・駆風・健胃剤として使われている。草丈1〜2b
になる大形の多年草で、葉は細かく裂けている。夏に黄色の小さな花を傘状に着
ける。その後小さな果実がいくつも生る。属名は古いギリシャ語から。種名は一
般的なという意味。
品種
普通にあるのはスイートと呼ばれる品種。そのほかに葉が赤みを帯びているブ
ロンズという種類と、肥大した茎を軟白してサラダなどにして食べるフローレン
スという品種がある。
栽培
移植を嫌うので、春か秋の彼岸頃に栽培地に直播きするか、鉢に播いたものを
丁寧にポットに仮植えしてから地面に移す。発芽に半月くらいかかる。定植は5
0cm間隔にする。日当たりと排水のよい土地を好む。多湿に弱く、またキアゲハ
の幼虫やへっぴりむしがよく付くので、見つけ次第捕まえて殺す。
利用法
@ チャービル・チャイヴズ・パセリなどと並んで、魚料理には欠かせないハーブ
の一つ。生育期につみ取って生で利用する。また果実が熟したら種子を取って日
陰で乾燥し、ペッパーミルなどで引いて使う。
A漢方では去痰剤・駆風剤・健胃剤として使われている。
来したとされている。
フキ キク科フキ属
Petasites sp. (Compositae)
漢字名 蜂斗菜
同属植物はユーラシアと北米の温帯地方を中心に15種分布している。寒さに強い大振りな多年草で、丈夫な地下茎と長い葉柄、直径30〜50cmにもなる大きな根生葉を持っている。葉の縁は波を打っており、属名は古いギリシャ語で、広いつばの付いた帽子に由来し、大きな丸い葉からつけられたものである。フキ(P.
japonicus)は、北海道をのぞく日本と朝鮮、中国に分布し、古くから野菜として利用されてきた。花は雌雄異株で、早春に数cm伸びただけの花茎は、「ふいきのとう」とよばれ、大きな苞葉に包まれた姿は、スーパーの店頭などでもよく見かけ、早春の息吹を感じさせる食材であるが、そのままにしておくと、まばらな散房花序に小さなあざみのような白または淡黄色の花を十数輪つける。漢字でよく「蕗」と書かれるが、これは中国ではマメ科の薬草甘草(かんぞう)のこと、また「苳」と書かれることもあるが、こちらは同じキク科でも別の植物フキタンポポの意味である。
種
ここには日本産のフキのほか、タネを入手しやすい欧州産の種について述べる。
フキ PPetasites japonicus 本州・四国・九州と朝鮮・中国に分布する。草丈50cmくらいの多年草。長い葉柄は、野菜として古くから利用されており、現在も愛知県を中心に栽培されており、「きゃらぶき」は野菜の佃煮として最もポピュラーなものである。フキの変種に葉柄が2bにもなる秋田フキP.
j. var giganteusがあるが、これは秋田音頭に「秋田の国では雨が降っても唐傘などいらぬ」と歌われたほど大きく、主に砂糖漬けにして土産物になっている。
アルブス Petasites albus この種は、英国のタネ屋で草花として売られている種である。フランスの山岳地帯の湿り気のある茂みに自生している草丈30cmくらいの多年草。茎は中空で、鱗状の膜に覆われている。葉は根生で長い柄があり、直径は40cmくらいになり、地面を覆うように伸びる。花は葉に先立ち、2月末に花茎をのばし、白くて香りの良いアザミ状の花を散房状に咲かせる。種名は「白い」の意味。
栽培
タネは非常に細かいので、春の四月頃に浅鉢に丁寧に蒔き、腰水をする。両種とも、日向から半日陰のやや湿ったところを好むが、極端に乾燥するところでなければよく育つ。タネはかなり細かいので、4月頃に浅鉢にまき、覆土はしないで下から吸水させる。春に株分けして植え付けることもできる。寒さにも比較的強い。
利用法
@葉柄の皮をむき、アクを抜いた後に付けなどにして食べる。料理店や弁当屋などでは、透明なしょうゆを使い、美しい緑色に仕上げて、いかにも春らしい色彩を演出している。しょうゆで煮染めたものはきゃらぶきと言い、お茶漬けなどに愛用されている。ふきのとうは、カルクに足り天ぷらにして料理に添えるが、かなり苦みが強いものなので、付け合わせようの食材である。
Aふきのとうは、煎じて沈外・去痰剤として用いられていた。漢方薬としては用いられない。
Cフキは「富貴」に通じる縁起の良い植物とされ、庭に植えておくと良いとされている。鑑賞価値はないが、ふきのとうを楽しむことができる。アルブスはグラウンド・カバー用の植物として利用されている。
フジウツギ科フジウツギ属
Buddleia sp. (Loganiaceae).
英名 butterfly bush
中南米、アフリカ南部、東アジアなどに70種あまりが分布し、日本の産地
の水辺に近いところに生えているフジウツギも同属の植物である。樹高2〜5mの
落葉灌木で、寒さに強いものが多い。枝はやや角張っていて、横に伸び、先端は
下向きになる。葉は被針形で、長さ10〜15cm, 花は夏咲きのものが多く、種に
よって花色や形はまちまちである。花に芳香があり、チョウチョがよく止まるる
ところから、英語でbutterfly bushと呼ばれ、チョウを観察するための花として
知られている。属名は英国の植物学者アダム・バドゥル(Adam
Buddle 1660? - 1715) にちなんだもの。
種
フジウツギ Buddleia japonica
日本の山地に生える落葉樹で、夏に藤色の
花がまばらに咲く。英国の園芸書には出ているが日本では雑木扱いで、しかも有
毒なので、栽培しない方がいい。
フサフジウツギ Buddleia davidii
中国原産の植物の改良種で寒さに強い 。5mくらいになり、株張りはそれ以上になり、生育が早い。花は6月から9月に
咲き、小さい花が房状に集まり、甘い香りがある。花色は藤色だが、白やピンク
などの花の咲く品種もあり、のどの部分はオレンジ色になる。
生育が早く、春播きのものは普通種でも翌年の夏には樹高1.5mくらいになって開花し、交配種では播いた年の秋位階化する。
グロボーサ buddleia globosa
チリやペルーの標高の高い地域に分布する
。花は夏咲きで、小さな花が1cmくらいの球場に集まって小さな花序を作り、そ
れが房状に集まって咲く。鮮やかな黄色で強い香りがある。
栽培
輸入種子を取り扱う店などにタネが出回っており、タネから比較的簡単に栽
培できる。ただしタネは非常に細かいので、浅鉢などにタネが重ならないように
丁寧に播き、そのままかタネが見え隠れする程度に細かい砂などで覆土して、下
から吸水させるようにしておくと半月くらいで発芽する。種まきはソメイヨシノ
が咲く頃が適当である。発芽したら密生したところを間引き、本葉が6枚くらい
になったら一度ポットなどに仮植えする。そのまま一年栽培して、翌春栽培地に
定植する。日当たりと排水のよい土地を好む。また枝が大きく広がるので、ある
程度の場所が必要である。春の彼岸頃に出回る苗を買って植え付けることもでき
る。
利用法
C庭園樹として観賞用に利用する。切り花にもできる。花が終わった後刈り込
んでやると、あまり場所をとらないで栽培することができる。
アマ科アマ属
Linum sp
(Linaceae)
英名 flax
北半球の広い範囲に分布する一年草・二年草・多年草または灌木で、200
種ほどあると言われている。日本にもこの仲間のマツバナデシコが自生している
。寒さに強いが、高温多湿には弱いので、本来宿根姓のものでも、暖地では一年
草として扱ったほうがよい。草丈は30cmくらいから1mくらいで、根本からよく分
枝する。葉は普通被針形である。花は5月頃から7月にかけて咲くものが多く、
5弁花だが、花色は種によって様々である。ほとんどの種は一日花だが、花が次
々に咲く。特にアマは、エジプトで7千年も前から栽培され、もっとも古い栽培
植物とされている。8世紀後半にゲルマン民族kを統一してフランク王国を打ち
立てたカール(シャルルマーニュ)大帝が、健康維持のために、もっとアマ油を
使えという布告を出したとされている。属名は古くからのギリシャ語の名前に由
来する。
種
アルピヌム Linum alpinum ヨーロッパの山岳地帯に産する、草丈15cmくらいのいかにも華奢な漢字の植物。花は足す右崎、空色。種名は「アルプスの」。ロックガーデン向く。
キバナアマ Linum flavum
ドイツからロシアにかけて分布する。多年草で
寒さにはかなり強いが暑さには弱い。種名は「まっ黄色の」の意味で、名前の通
り、鮮やかな黄色の花を咲かせる。
ハナアマ Linum grandiflorum
紅花アマともいう。北アフリカ原産の寒さ
に強い一年草。リナムという名前で観賞用に栽培されている。花が大きく、花色
は牡丹色・紅色・赤など。
レウェシー Linum lewesii 英語でprairie flaxと呼ばれるように、アメリカ合衆国南西部、ウィスコンシンなどの大草原に分布する草丈40〜80cmくらいの多年草。花は8月から8月に咲き、さわやかな混じりけのない空色。
シュッコンアマ Linum perennis
ヨーロッパ北部に広く分布する。草丈4
0cmくらい。花は青紫だが、白花の品種もある。
アマ Linum usitatissimum
種名は「もっとも役に立つ」の意味。地中海沿
岸原産の寒さに比較的強い一年草。草丈40cmくらい。葉はやや白っぽく、被
針形である。根本からよく分枝して、夏に空色の花を咲かせる。茎から繊維を取
り、またタネから油を取って食用、薬用などに使われる。ただし繊維用と油用と
は現在は品種が専用のものが出ている。
栽培
アマの仲間は直根姓で、移植ができないので、秋の彼岸頃から10月中旬に
、花壇に直接まき、2mmくらい覆土しておく。発芽してきたら、株間が15cmくら
いになるように間引いてやる。日当たりと排水のよいやや乾燥した土地を好む。
宿根系の種類は寒地のほうがよく栽培できる。
利用法
Aタネから取った油は、麻子仁(ましにん)といい、漢方で緩下剤として使わ
れる。
B茎から取った繊維はリネンという。各種の衣料品に使われている。タネから
取った油は、食用、化粧品または塗料などに加工されている。また、油の絞りか
すは家畜の飼料になる。なお、栄養素の脂質は、脂肪酸とグリセリンが結合した
ものだが、脂肪酸のなかに三つだけ必須脂肪酸と呼ばれる私たちの生命維持に欠
かせないものがある。リノール酸・リノレン酸とアラキドン酸だが、前2者はこ
の植物のタネに多く含まれていることから名付けられたものである。繊維用には
草丈が高く、あまり分枝しない品種が選抜され、油用にはよく分枝して花がたく
さん咲く品種が選抜されている。
C全ての種は、花が一日花だが、花数が多く美しいので、花壇に植えたり切り
花にしたりして観賞用に栽培されている。
ツツジ科スノキ属
Vaccinium sp. (Ericaceae
和名 クロマメノキ
英名 blueberry, huckleberry, cowberryほか
1960年代から日本でも栽培が始まり、特に90年代からは、「視力を保つのによいハーブ」として注目を集め、乾燥果実や生の果実、冷凍品、さらにジャムやワイン、エキスを含んだサプリメントなど、様々な商品が出回るようになった。同属植物は150種ほどあり、落葉灌木または小灌木が多いが、常緑のものもある。日本ではクロマメノキやコケモモなどが自制して、野生果実として農山村地帯で知られていたが、欧米でも古くから幹仮名果実として親しまれ、ブルーベリーの他に、ハックルベリー、カウベリー、ビルベリーなどと言う種類がある。温帯からかなり寒い地方の日当たりの良い沼地などのしめった、土壌が酸性のところに自制していることが多い。根本からよく分枝し、葉は小さく互生する。コケモモのように、地面をカーペット状に覆いながら生育するものもある。花は雌雄異株で、春に咲き、城または淡いピンクで、恙田または釣り鐘型の合弁花で、果敢は先端が4つにさけている。果実は野生のものでは秋になってから実ものが多いが、栽培種は夏に結実し、藍色、赤紫またはかなり黒に近い色である。球茎で7〜8mmくらいのものが多いが、栽培種には2cmくらいになるものもある。属名は古いラテン語から。ここには一応、タネが売られているものをあげたが、果樹として栽培するなら、品種ものの苗を買わなければならない。なお、最近園芸店で見かけるクランベリーCeanberry(Vaccinium
oxycoccus)も同属の植物である。
種と品種
ブルーベリー Vaccinium corymbosum 英名 high bush
blieberry
現在ブルーベリーとして栽培されている植物は、いくつかの原酒の交配種であるが、日本で多く栽培されているものは、ハイブッシュ系と呼ばれる、樹高1.5〜5m位のもので、このほかに、樹高30〜50cmくらいのローブッシュ系V.
angustifoliumがある。アメリカ合衆国東部原産の落葉樹で、現在は世界の温帯のかなり広い地域で栽培されている。国内では挿し木による、十数種の品種が販売されているが、実の成熟期によって、早生・中生・晩生に分けられている。成熟期は7月から8月で、国内での商業的な栽培は東北から中部地方が多い。生の果実は傷みやすいため、乾燥果、冷凍品などで出回っており、ジュース、ジャム、ワインなどの加工品にされるほか、エキスをルテインなどと一緒にカプセルに入れた健康補助食品も多く出ている。目の筋肉の緊張をほぐす働きがあると言われ、パソコンなどで眼精疲労が起きやすい今日、人気商品になっている。東日本の、赤土のやややせた土地でよく育つので、家庭果樹としても最適である。種名は「散房花序の」
このあとの3種は、タネが入手しやすいものである。
ベルベリー Vaccinium mirtillus 英名 belberry
アジア北部からヨーロッパ北部にかけてと、ヨーロッパの山岳地帯に自制する樹高15〜45cmくらいの落葉小灌木。枝には3,4列の翼がある。花は5月頃に咲き、ピンクの釣り鐘型で、学と果敢はそれぞれ5裂する。その後紺色の小さな果実がなる。果実は甘酸っぱく、パイ、カスタード、菓子の材料としてよく使われる。実の白い園芸種がある。V.
myrtilloides, V. myrsinitesなどよく似た学名の植物がある。英国の種のカタログに、この植物の別名としてhuckleberryの名があるが、現在ハックルベリーというのは同じツツジ科のGailussacia属の、アメリカ合衆国東部に産する植物である。種名は「フトモモのような」
ハックルベリー Vaccinium ovatum 英名 huckleberry
米国北西部原産の寒さに強い常緑灌木で、樹高1〜2mになる。新芽は紅く、成熟した葉は非常に光沢のある明るい緑色で、切り葉して鑑賞することもできる。鼻もこの属の植物としては美しいピンクの花で、その後に赤い実がなる。
カウベリー Vaccinium vitis-idaea 英名 cowberry
ギリシャなどの地中海と右岸地方に分布する、匍匐性の常緑小灌木で、樹高は15〜40cm、5月に、語句淡いピンクの釣り鐘型の鼻を開き、その後に紅く小さな実をつける。種名は「ダ山(ギリシャまたはキプロスにある山の名前)のぶどうという意味。
栽培
果実を収穫するのが目的であれば、園芸店で品種名のはっきりした苗を買って育てなければならない。雌雄異株のため、実がなる雌の木と一緒に、数本に一本の割合で雄の木を植える必要がある。北欧などで重要な果樹となっているほどで、寒さには大変強く、また、酸性土壌を好む植物なので、日本の、特に関東、東北や、中部山岳地帯などは栽培の適地である。苗は春先の葉が出る前か、秋野落葉後に、日当たりがよく、水はけ、水持ちの適度なところに定植する。1m四方に一本くらいが適当である。
利用法
@果実は生のママ食用になる。国内でもかなり栽培しているところはあるが、全体的に生産量が少ないため、店頭にはアメリカやチリの商品(冷凍または回答品)が多く出回っている。
A疲れ目、特に目の筋肉の疲れに、ブルーベリーがよいと言われ、ブルーベリーのエキス単独またはルテインなどと一緒にカプセルに入ったサプリメントが売り出されている。
Bジュース・ジャム・乾燥果実など様々な加工品として販売されている。
Cカウベリーの葉や鼻は、観賞植物として十分愉しむことができる。
マメ科エニシダ属
Cytisus scoparius (Leguminosae)
和名 エニシダ 英名 broom
ヨーロッパの海岸地帯に原産する樹高2bくらいの落葉低木。荒れ地でもよ
く生育するため、アメリカなどでは帰化植物になっている。江戸時代の始めに日
本に渡来し、海岸地帯の庭園樹として親しまれている。枝は角張っていて、葉は
細く、5月から6月にかけて花径2cmほどの黄色の蝶形花を咲かせる。花色に赤
紫のものや、黄色に赤の覆輪などの交配種がある。花の後に絹サヤエンドウに似
た実が成り、真っ黒に熟れる。属名は、ギリシャ語でクローバーの意味のキティ
ソスに由来するとされている。種名はこの植物の古名から。数十種類ある同属植
物の中で、この種が代表になっているからと思われる。
品種
普通種は黄花だが、ドイツのベナリー社の改良種は、赤・朱色・赤紫と黄色
に赤の覆輪のあるものなどの混合である。
アルブス Cytisus albus 英名 White Spanish bloomスペイン・ポルトガルとその対岸のモロッコなどに分布している樹高2〜3bの寒さに強い落葉樹。葉は細くて小さく、三つに分かれている。花は5〜6月に咲き、白くて小さい。薄いピンクや早咲きの変種がある。
バッタンディエリ Cytisus
battandieri
上記のものとは別種で、欧米でタネが売られている。
樹高4bくらいになるアフリカ北西部産の落葉樹で、木全体が銀白色を帯びてい
る。花はやや大型で、パイナップルに似た甘い香りがある。
栽培
挿し木は付きにくく、一方種子はよく発芽するので、3月頃にタネをまいて育
てるのがよい。タネを一晩水につけてからまくとよい。鉢に播き、3oほど覆土
しておく。本葉が出てきたら丁寧に少し大きめのビニールポットに移して育苗す
る。地面に移すのは翌年になってからの方がよい。株が張るので、他の草木との
間隔は1b以上あけるようにする。水はけがよい土地なら半日陰から日当までよ
く生育し、ほとんど病虫害はない。
利用法
B黄色い花を草木染めに使う。有毒植物なので、葉・花・種などを食べてはいけ
ない。
C海岸地帯で庭木などによい。
マメ科レタマ属
Spartium junceum (Leguminosae)
和名 レダマ 別名 ニオイエニシダ 英名 Spanish
broom
地中海沿岸地方、特にカナリア諸島に多く分布する樹高3b近くになる暑さ
・寒さに強い落葉低木。性質は上記のエニシダによく似ているが、萼の形が少し
違うために別属になっている。幹は直立してピラミッド形の樹形になり、下からよく枝が出る。葉はほとんど茎と同じ形で目立たない。花は5月ころに2cmほどの明るい黄色の蝶形花が各枝の先に数輪房になって咲く。花にはポマードのような独特の香りがあり、日本人にはこれを好まない人が多い。1属1種。属名は「ひも」、種名は「い草に似た
」の意味で、ともに葉が非常に細いひも状であることから名付けられている。
栽培
種子は国内ではあまり売られていないが、インターネットに店を出している外
国の種苗店で入手できる。4月頃に二晩水につけたタネを鉢などにまき、発芽し
たら4寸くらいのポットに仮植えし、翌春に排水のよい土地に、苦土石灰を1坪
当たり400cくらいすきこんでから、植え付ける。株が張るので半径150cm
くらいの土地が必要である。
利用法
C 海岸地帯などで、あまり他の庭木が育たない地方で、庭園樹として用いられて
いる。
ヘクソカズラ
アカネ科ヘクソカズラ属
Paederia scandens (Rubiaceae)
別名 ヤイトバナ、サオトメバナ
屁糞葛とは、思わず出した手を引っ込めて鼻をつまみたくなるようなすさまじい名前の植物だが、中国語でも鶏屎藤と言い、また、ラテン語の属名も「むかつくようなにおいがする」という意味で、この悪臭が植物のトレードマークになっているようだ。しかし一方で、早乙女花というかわいい名前もあり、英国の王立園芸協会の園芸大辞典にも、観賞植物として掲載されている。同属植物はアジアとアメリカの亜熱帯から温帯地方に、全部で20種あまりある。ヘクソカズラは、本州・四国・九州の茂みなどに生え、また中国・朝鮮や東南アジアに分布する落葉の灌木状蔓性植物で、長さ5bくらいになる。対生する葉は柄があり、スペード形である。花は各葉腋に夏に咲き、釣り鐘形の合弁花で、直径1cmくらい、灰色を帯びた白で、中心は赤紫である。赤紫の点がお灸の痕に似ているので、「ヤイトバナ」とも言う。種名は「蔓性の」の意味。
栽培
雑草で、種苗などは売られていない。
利用法
A全草を煎じたものを、腹痛や下痢止めなどに用い、また消炎剤とされる。果実の汁は、しもやけやあかぎれに、葉の汁は虫さされに効くとされている。
ヘチマ
ウ リ科ヘチマ属
Luffa cylindrica (Cucurbitaceae)
英名 dish wash gourd
熱帯アジア原産の春まきの一年草。茎はつる性、巻きひげで他のものにから
みつき、よく作ると5b近くに伸びる。葉は大きく掌状の切れ込みがある。全草
に独特のにおいがあり、西洋人はあまり好まないようだ。雌雄同株で、花は花径
5cmくらいで黄色い。その後濃緑色で円筒形の果実が実るが、長いものでは1b
を超えるものもある。熟した果実を水につけて果肉を腐らせ、タネを取り除いた
ものは、良質の繊維の塊である。同属の植物はアジア・アフリカの熱帯地方に5
種、熱帯アメリカに1種ある。属名はアラビア語に由来する。種名は「瓶のよう
な」。10世紀には薬草として中国に伝来し、その後まもなく日本にも伝わった
。イトウリとも言い、この「とが、いろは48文字の「へ」と「ち」の間にある
ので「へち間」という名前が付いたとする説があるが、疑わしい。
栽培
タネは粒が大きくてよく発芽する。熱帯産の植物なので、5月になってから
播く。タネは安価なので、垣根や棚を作るところの下に2,3粒ずつ播き、5o
ほど覆土して、発がしてから1本に間引くと宵。肥料は、タネをまく前にたい肥
や油粕などをすき込んでおき、成長に従って窒素・燐酸・カリが等量程度には炒
ったか正否量を適宜与えればよい。日当たりと排水の宵土地を好み、乾燥したと
きは十分に灌水してやる。
利用法
@10cmくらいまでの果実は、摘み取ってズッキーニなどと同じように食べる
ことができる。
Aリューマチ・胸や背中の痛みの治療などに訳そうとして用いられていた。近
代俳句の父と言われながら、若くして結核でなくなった正岡子規の句に「痰一斗
、ヘチマの水も間に合はず」というのがあり、結核にも使われていたようだ。
Bヘチマの樹液は、「ヘチマの水」と呼ばれ、化粧水として使われてきた。ヘ
チマの繊維は、お風呂でのいわゆる垢すり用に用いられてきた。欧米では皿洗い
用に用いられてきた。そのほかヘルメットのクッションとして使ったり、汽船の
ボイラーの水から油を越すためなどに使われている。またタネから油がとれ、食
用油として使われる。
C家の前に棚を作り、強い日差しを遮る緑陰用として栽培されることも多い。
明るい緑の葉と、そよ風にゆらゆら揺れる果実は、いかにも涼しそうである。
シソ科カッコウソウ属
Stachys officinalis (Labiatae)
英名 betony 和名 カッコウソウ
ヨーロッパ原産の寒さに強い多年草で、草丈は20pから30pくらいにな
る。以前薬草として栽培され、また染め物などにも使われたが、現在は観賞用に
わずかに栽培されるだけになった。葉は細長いハート形。花は唇形花で6月から
8月まで咲き、赤紫だが白花種もある。また大輪で濃いピンクの園芸種がある。
属名は古いギリシャ語から。種名は「薬用の」。
種
上記の他に、下記の種がタネから栽培できる。また、このほかにラムズイヤーもある。
ゲルマニカ Stachys germanica 名前の通り、ドイツから英国などのヨーロッパでも涼しい地方に分布し、寒さに強いが暑さに弱い、草丈50〜90cmの二年草または短命な多年草。根生葉で越冬する。茎につく葉は長楕円形または被針形で、柔毛に覆われ、全体に白く見える。花は涼しい地方なら5月から9月に開花し、明るいピンク。かつて英国などで外傷の治療に使われていたので、英語ではdowny
woundwortと言う。
マクランタ Stachys macrantha コーカサス地方原産の草丈30〜60cmくらいの常緑多年草。ヨーロッパでは観賞用の品種が多い。葉は楕円形で、荒池が生えており、花も前種より大輪で、濃い青紫。種名は「花の大きい」
栽培
タネは細かいので、春4月か秋9月ころに、箱などに播き、タネが見え隠れす
る程度に覆土して乾かさないようにしておく。発芽に半月ほどかかり、発芽率は
あまりよくない。適当な大きさになったら花壇などに15p間隔に植え広げてや
る。
利用法
以前は民間薬としての使い道があったが、現在は観賞用にわずかに栽培されて
いるだけである。
ベラドンナ
ナス科オオカミ
ナズビ属
Atropa belladonna (Solanaceae)
英名 dwale 和名 オオカミナスビ
<毒ハーブ>
同属植物は、ヨーロッパからインド、ヒマラヤにかけて4種分布している。
寒さに強い多年草で、医薬品用に主に東欧などで栽培されている。かつて「セイヨウハシリドコロ」と呼ばれたことがあったが、ハシリドコロは、
同じナス科に属する毒草だが、属は別である。古来からトリカブトと並んで毒性
の強い植物として知られ、属名はギリシャ神話に出てくる、英語でthe
Three Fates
と呼ばれる3人の運命の女神のうちの一人の名前で、彼女が「運命の糸」と呼ば
れる細い糸をはさみで切ったとき、その人間が死ぬとされていた。ベラドンナの
葉から取れるアトロピンというアルカロイドは、瞳孔を散大させ、知覚を麻痺さ
せる働きがあり、鎮痛剤として用いられているが、素人が誤った使い方をすると、死を招く可能性もあるので、絶対に勝手に使用しないこと。ベラドンナは草丈
1〜1.5bくらいになり、茎は直立し、葉は先の尖った楕円形で、長
さ20cmほどある。花は夏に咲き、ロート形でエビ茶色である。その後直径2cm
くらいの、サクランボに似た光沢のある果実が黒く熟する。
栽培
日向または半日陰の、ややアルカリ性のよく肥えた土地を好む。5月ころにタネを播き、2oほど覆土して発芽させ、株間40cmくらいに植え付ける。また、株分けで繁殖することもできる。ただ、特に花が美しいわけでもなく、また、誤って子供が食べたりするとき県であり、アレルギーや皮膚の弱い人は、触ってかぶれることがあるので、家庭での栽培は好ましくない。
利用法
A古代には「魔法使いの油」と称して、手術をする前に皮膚に塗って麻酔薬として使っていた。強い麻酔作用、催眠作用があり、鎮痛剤、鎮静剤などの用いられている。また、相手を知覚麻痺に陥れることから、古代の戦争では毒矢の材料としても使われていた。
ムラサキ科キダチルリソウ属
Heliotropium peruvianum (Boraginaceae)
和名 キダチルリソウ 英名 cherry pie,
heliotrope
ペルー原産の寒さに弱い常緑低木。樹高は2b近くになる。薔薇・ジャスミ
ン・ラヴェンダーなどとともに香りのよい花の代表で、香水用にも大量に栽培さ
れている。枝はよく分枝し、葉はやや長い楕円形で、少しざらざらしている。花
は温度さえあればいつでも咲き、小さな紫・淡青色・白などの小さな花が固まっ
て咲く。本来のへリオとロープは、温室用に栽培され、苗も売られているが、タ
ネで売られているものには200種あまりある同属の別種のものがかなりあり、
香りのよいものとほとんどないものがある。属名は「太陽に向かって回転する」
つまり「ひまわり」の意味だが、これはインディオたちがそう信じていたためで
、実際には太陽の方を向いて咲くわけではない。なお、本物のヒマワリも、つぼ
みの時に太陽の方を向く性質があるが、開花してしまうといつも同じ方を向いて
いる。種名は「ペルー産の」。
品種
タネとして出ているのは、arborescens(木立状の)と、一年草のcomvolvilceum
(西洋昼顔に似た)などがあり、はっきりしない。
栽培
苗木で売られているのは、温室が必要で、10度以下になると枯れてしまうこ
とが多い。家庭用にタネとして売られているのは、メキシコ原産の一年草のもの
が多いが、こちらの方は温室がなくても栽培できる。4月下旬か5月上旬に日溜
まりなどの暖かい苗床で播種し、3oほど覆土しておくと、十日ぐらいで発芽す
るので、本葉が4枚ほど出てきたら、半日陰くらいの排水のよいところに植えて
やる。一年草のものは割りに丈夫で、9月から10月にかけて美しい花を咲かせ
る。
利用法
B 家庭では香水を作るのは無理なので、ポプリにしたり、お風呂に入れて香りを
楽しんだりする。
Cまた家庭の花壇や切り花の材料としてもよい。
ヘンナ ミソハギ科シコウカ属
Lawsonia inermis (Lythraceae)
英名 Henna tree
和名 シコウカ(指甲花)
北アフリカに分布する寒さに弱い常緑低木。旧約聖書にも出てくるハーブで、現在は世界の熱帯地方に商業的に栽培されているほか、香りの良い花が咲くことから庭木や街路樹、防風林用の樹木などにも利用され、また自生化しているところもある。1属1種の植物。日本でもいくつかの輸入種子を扱う業者からハーブのタネとして売り出されているが、南西諸島や小笠原以外では、栽培が難しい。樹高2〜6bになり、幹は直立し、下からよく分枝し、とげがあるが、種名が「武器を持たない」という意味で、とげはそれほど鋭くない。葉は対生し、両端のとがった長円形で長さ5cmくらいあり、白い粉が吹いている。花は夏咲きで、小さな白またはピンク7_ほどの4弁花が、40cmくらいの円錐花序に咲き、強い香りがある。英名の「ヘンナ」はアラビア語に由来。また和名は、この植物の葉を爪に塗って、黄色いマニキュアにしたことから。
栽培
熱帯地方の原産なので、冬の最低気温が10度以上あるように管理しなければならず、日本の本土での屋外栽培はできない。温室で栽培する場合は、春にタネをまくか、新しく出てきた枝を挿し木して増やす。水はけの良い砂質壌土を好むが、水やりは頻繁に行った方がよい。
利用法
A血流をよくし、また、殺菌作用があると言われている。インドの伝統医学アーユルヴェーダでは、体質改善剤、強壮剤などの目的で使われている。
B中近東では、皮膚・毛髪・爪を朱色に染める染料として使われてきた。毛を染めるだけでなく、髪の毛のトリートメントにも効果があるといわれている。
シソ科バロタ属
Ballota nigra (Labiatae)
英名 horehound black
南アフリカに1種分布する他は、すべて西アジアからヨーロッパの地中海沿岸に分布している。35種ほどあり、多年草または亜灌木で、比較的寒さに強い。ホアハウンド・ブラックは、草丈40cmから1bくらいになる多年草で、葉はシソに似て、円形または長円形で鋸歯があり、かなり濃い深緑色だが、刺激性の不快臭があり、強い苦みがある。夏の間葉腋に、小さなピンクの唇形花をまばらに咲かせる。かつて薬草として利用されていたため、ハーブとして国内で輸入種子が販売されているが、花もさほど美しくなく、ハッキリ言って栽培する値打ちのない植物である。属名はギリシャ語の「拒否する」に由来し、家畜類が絶対に食べないことによる。種名は「黒い」で、葉の色が非常hに濃いことから。
栽培
ヨーロッパのかなり広い範囲に雑草として生えているので、性質は丈夫で、1日2,3時間費が当たり、極端に水はけが悪いところ以外は栽培可能である。4月ころに栽培地にタネをばらまき、タネが見え隠れする程度に覆土しておく。発芽してきたら間引いて株間を30cmくらいにする。春先に株分けで増やすこともできる。
利用法
Aかつては鎮痙剤、特jに子宮や胃、気管支などのけいれんを抑えるのに用いられ、また胸焼けやむかつきを抑えるとされていた。
ホアハウンド・ホワイト シソ科マルビウム属
Marrubium vulgare (Leguminosae)
ヨーロッパと西アジア及び北アフリカの乾燥地帯に分布している寒さに強い多年草。同属植物は30種ほどあり、ユーラシア大陸の西部から北アフリカにかけて分布している。属名はかなり古いラテン語から来ているが、語源はイタリアの町の名前という説と、ヘブライ語で「苦い汁」を意味するという説とがあり、かなり古い時代から薬草として使われてきたようだ。ホアハウンド・ホワイトは、草丈20〜60cmくらいになる多年草で、葉はシソやハッカなどとよく似た鋸歯のあるハート形で、長さ5cmくらいあり、灰色を帯びた緑色で、柔らかい毛があり、波を売っている。ハッカに似た強い香りがある。花は夏咲きで、小さな白い唇形花が穂状に咲く。
栽培
涼しく乾燥した、日当たりと水はけの良い土地を好み、かなり痩せたところでもよく生育する。タネは春か秋の彼岸ころにまき、鉢に播いて覆土をしないで舌から吸水させるのが一番確実だが、花壇などに直に播き、種が見え隠れする程度に覆土しておいても数日で発芽する。春先に株分けしたり、初夏に伸びてきた茎を来て挿し木してもよく付く。花穂が出てきたら、早めに摘み取るようにすると、数年愉しむことができる。
利用法
@かつてはキッチンハーブとして利用されていたが、香味が強すぎるため、現代は料理用としてはほとんど使われなくなった。
A生または乾燥した葉に熱湯を注いで振り出して作るホアハウンド・ティーは、苦しい咳を止めるハーブ・ティーとして、よく知られている。
Bヨーロッパでは蜂蜜を取るための植物としても知られている。。
アカザ科ホウキギ属
Kochia scoparia (Chenopodiaceae)
英名 belvedere 別名 ほうきぐさ
ユーラシア大陸の乾燥した温帯地方に広く分布している一年草。大きくなっ
た植物を根本から刈り取り、庭箒に使ったために「ホウキギ」と呼ばれているが
、一年草なので園芸上は「箒草」で通っている。草丈は1b以上になり、株は直
立して円錐状になり、よく分枝して針状の葉を多数つける。秋に葉腋に黄緑色の
細かい花を沢山付け、そのあとに結実する。全草は春から夏にかけて黄緑色で、
秋になると鮮やかな紅葉のような色になる。庭に植えて観賞用に栽培されている
が、タネを食用にすることもできる。年輩の人の中には、「箒草」というと、北原白秋作詞・山田耕筰作曲の童謡「待ちぼうけ」の5番(最終節)の、「もとは涼しい黍(きび)畑、今は荒れ野の箒草」という歌詞を思い出し、雑草の代名詞のように感じる人もいるかもしれないが、これはおそらく、枯れたく木だけの寒々としたイメージからのもので、このホウキギとは関係ないと思われる。属名はドイツの植物学者のウィルヘルム・
ダニエル・コッホWilhelm Daniel Koch 1771 - 1849)に因んだもの。種名は「エ
ニシダのような」の意味で、葉が針のように細く、よく分枝することによる名前
である。
栽培
適当に日が当たり、排水のよいところなら、特に土質を選ばずよくできる植物
である。直根性なので、5月になってから50p間隔の筋を作り、播いたあと間
引きして株間を30p間隔にする。根が浅くて倒れやすいので、時々土寄せをし
てやるか、支柱を立ててやるといい。
利用法
C 主に花壇に植えて鑑賞する。ほうきにして使うことは現在ではほとんどなくな
った。地方によって種子を食用にするところもある。
Spinacea preacea (Chenopodiaceae)
漢字名 菠薐草(「方蓮草」は当て字)
現在日本では葉物野菜として最もポピュラーであり、また、緑黄色野菜の代表でもあり、健康志向と相まってよく利用される野菜の一つである。原産地は中東地方で、日本には元禄時代に伝えられたと言われる。戦後までよく見かけた在来種は、葉が黄色を帯びていて深い鋸歯があり、根茎が肥大していたが、現在は明治以降、特に戦後に広まった、葉が平滑で濃緑色の西洋種(アメリカから導入されたもの)が多い。この属には4種あり、全て一・二年草である。ホウレンソウは本来は越年生の植物だが、周年栽培され、野菜として出回っているものは、かなり若い段階で抜き取ったものである。本来は草丈90cmくらいになり、直立して葉は互生、葉には長い柄があり、三角形またはスペード型である。花は雌雄同株で6月に咲き、穂状花序だが、黄緑色で小さく、観賞価値はない。タネにはとげ状の突起がいくつかあり、属名はとげ(spine)に由来し、英名も同じ起源である。種名は「料理に適した」の意味。ビタミンA,
C,
ミネラルを豊富に含むが、蓚酸を含み、体内からカルシウムを追い出す働きがある。よくゆでて食べ、「ポパイ」の真似をして、食べ過ぎないようにした方がよい。感じで法蓮草と書くのは当て字で、正しくは菠薐草(ぽーれんつぁお)と書く。菠薐はネパール当たりを指す言葉で、そちらから伝来したことによる。
栽培
酸性土壌を嫌うので、赤土などのところでは苦土石灰を多めに入れて中和しておかなければならない。又、連作を嫌う。栽培地は十分に耕し、60cm幅くらいの畝を作るか、家庭では30cm間隔に筋を付け筋まきにしてもよい。菠薐草の種は安価ではあるが、発芽は余りよい方ではない。種には3〜5ミリ覆土する。家庭ではジ徐々に間引いて利用するのもよい。種を取らない限り、葉が30cmになる前に全部収穫した方がよい。
利用法
@押したし・胡麻和え・卵とじ・知るのみ抔、ゆでても煮ても、油で揚げても食べられる野菜である。近年サラダ用法連想と称して、生で食べられることを歌ったものもあるが、蓚酸が多く含まれており、あまり食べ過ぎない方がよい
ボタン科
ボタン属
Paeonia sp. (Paeoniaceae)
英名 paeony
ヨーロッパ、東アジア及び北米大陸の温帯地方に約40種が分布しており、
日本にもヤマシャクヤクが、山林の下草として分布している。。かつてはキンポ
ウゲ科の一属だったが、90年代になってから独立してボタン科Paeoniaceaeに
なっている。多年草の物と亜灌木の物があり、古くから栽培されていたのは、中
国から薬用または観賞用植物として渡来した草本の芍薬と木本のボタンだけだっ
たが、戦後になって欧米で改良された観賞用の様々な品種が作られるようになっ
た。草丈は30cm〜1mくらい。根本で分枝し、葉は大きくていくつかの小葉に分か
れている物が多い。花は直径が園芸品種では30cm以上に及ぶ物もあり、八重咲き
で実に立派で、中国では「花の王様」と呼ばれている。西洋芍薬の園芸種は比較
的育てやすく、家庭での栽培に適しているが、ボタンは性質が弱く、特に黄色の
花の咲く品種は家庭では扱いにくい。属名は、ギリシャで初めてこの植物を薬草
として使った人とされる外科医のパイオンに因んだもの。
種
セイヨウシャクヤク Paeonia officinalis
フランスからアルバニアにかけ
てが原産地の多年草。近代まで欧米では、ひきつけ、てんかん、また咳止めや腎
臓などの結石の薬としてもっともポピュラーな薬草の一つだった。草丈60cmくら
いになり、葉は大きな葉が三つに分かれ、それがまたいくつもの切れ込みがある
。花は5月頃に開花し、原種は紅色だが、園芸種には赤・紅・赤紫・ピンク・白
などがある。雄しべ・雌しべは黄色でたくさんあるが、非常に重ねの厚い八重咲
きもある。種名は「薬用の」。
シャクヤク Paeonia lactiflora
こちらは漢方薬の薬味として重用されて
きた植物で、奈良時代にはすでに日本に渡来し、薬用、観賞用として栽培されて
きた。草丈80cmくらい、茎には赤みがある物がある。花は本来は花径10cmくらい
の一重の乳白色の物で、種名も「乳色の花が咲く」の意味である。
現在園芸店でシャクヤクとして売られているものは、ほとんどがこの属の種
間交配などによって改良されたもので、なかにはボタンとの交配種もある。花は
大きいものでは30cm以上のものもあり、赤・ピンク・紫・白のほかしぼり咲きや
鮮やかな黄色・オレンジ色の品種まである。草本ならば全てシャクヤクとして扱
われている。一般に寒さには比較的強いが、高温多湿に弱く、特に花が咲く5月
から6月にかけては病気が出やすい。苗の値段も比較的安い物から、1本1万円
を超える高価なものまであるが、概して苗の値段が安いものほど丈夫な品種なの
で、初めての人はそのようなものを手に入れた方がよい。
ボタン Paeonia suffruticosa
中国原産の亜灌木。種名も「亜灌木」の意
味である。現在栽培されている牡丹は、古代に中国から薬用として渡来したもの
を、主に江戸時代に日本で観賞用に改良したもの。欧米の品種、さらに最近中国
で栽培されている品種も輸入されている。株分けで増やしたもの、比較的丈夫な
実生の牡丹の根に接ぎ木したもの(牡丹台)、芍薬の根に接ぎ木したもの(芍薬
台)があるが、芍薬台は苗の値段が安価な反面木の寿命が短く、牡丹台はその逆
である。株分け苗は比較的丈夫だとされているが、中国産ボタンの一部に出てい
るだけで、また苗の値段が高い。花は芍薬よりさらに立派で、赤・紅・赤紫・ピ
ンク・白とそれらの絞り咲きなどがあり、黄色の品種もある。黄色の品種はルテ
アP. luteaという種を中心に種間交配によってできたものだが、性質が弱い。ま
た花形には芯が隠れる万重咲き、雄しべや雌しべが花弁状になり、ちょうどスパ
イスのクローヴのようになる丁字咲き(アネモネタイプ)、吹詰咲き、獅子咲き
などいろいろある。
このほかに次の種がタネで発売されている。
デラヴァイー Paeonia delavayi
中国原産の樹高1.5bくらいの灌木。葉は大きく、深い切れ込みがある。5月ころに暗赤色または赤褐色の花径8cmの花を咲かせる。
ルテア Paeonia lutea
キボタン(黄牡丹)とも呼ばれ、1900年に発見され、中国奥地からチベットに自生する。樹高1〜1.5bくらいの灌木。葉は大きく長い柄があり、切れ込みが深い。花はやや晩生で5月下旬ころ咲くが、明るい黄色である。戦後登場した黄色い牡丹はこの改良種だが、性質は弱い。種名は「黄色の」。
ロッキー Paeonia rockii
中国の山岳地帯に産する樹高1.5bくらいの灌木。葉は濃緑色。初夏に花径15cmくらいになるサーモンピンクまたは白い花を咲かせる。
栽培
牡丹や芍薬の植え付け時期は、秋も涼しくなってから、彼岸過ぎからもみじ
の盛りになる前が最適とされている。他の樹木は春先に植えるものが多いが、牡
丹・芍薬だけは春に植え替えはできないので注意すること。花壇に植える場合は
、株間80cmくらいの千鳥植えにする。鉢植えの場合は、一尺鉢が適当である。い
ずれの場合もたい肥や腐葉土などを十分に入れ、水はけの良い土にし、また冬か
ら春にかけて十分に日光に当てる。冬は、関東地方あたりまでは霜除けなしでも
越冬できる。春になって茎が伸びてきたら、支柱を立てて倒れないようにしてや
る。品種によってはつぼみがたくさん出てくるものがあるので、一つの大きな茎
の先に、一輪だけ咲かせるようにし、あとのつぼみは小さい内に摘み取ってやる
。春、暖かくなってくると病害虫が出てくるので、それぞれ適当な農薬を散布し
てやる。つぼみが色づいてきたら、雨に当てないように、花壇植えの場合は「傘
」をさしてやったり、鉢植えでは軒先の雨の当たらないところに移動してやると
、花に汚れがつかず、長く愉しむことができる。牡丹の栽培は難しいので、本格
的に栽培してみようと思う人は、専門書で勉強してほしい。なお、欧米では牡丹
や芍薬のタネが売られているが、高価な割には発芽率が悪く、おまけに花が咲く
までに数年かかるので、よほど好奇心の強い人以外は手を出さない方がいいだろ
う。
利用法
Aセイヨウシャクヤクの根は、鎮痙剤として使われ、薬草としてもっともポピ
ュラーなものだった。中国産の芍薬は、根を芍薬といい、桂枝湯や葛根湯など、
代表的な漢方処方の多くに配剤されており、血液や消化器の関係の症状に重用さ
れている。また、牡丹の根は牡丹皮といい、実証のひとの血液の障碍などに用い
られている。
Cいうまでもなく、牡丹は中国で「花の王様」と称される他、日本でも「立て
ば芍薬、座れば牡丹」などと美人を形容するように、美しいものの代名詞とされ
ている。高級品種は菊やオモト、東洋欄などとともに、鉢に植えて丁寧に栽培さ
れ、観賞に供されている。豪華な切り花としても楽しめるが、重ねの厚いものは
花持ちが悪い。
クワ科カラハナソウ属
Humulus lumulus (Moraceae)
英名 hop 和名 カラハナソウ
北半球の温帯地方に広く分布している多年生の蔓草で、日本の原野に分布す
るカラハナソウもこの変種であり、同属の植物にカナムグラがある。ビールの香
味付けと腐敗防止に使われるハーブとしてあまりにも有名で、そのために使われ
るものは西アジアからヨーロッパに原産している。宿根性で、つるは一年で6〜
10bくらい伸びて冬に枯れる。葉は心臓型で大きな切れ込みと鋸歯がありざら
ざらしていて、葉柄に刺がある。開花期は真夏。雌雄異株で、雄花は淡黄色で、
雄花は淡黄色か緑色で円錐状、雌花は黄緑色で金平糖のような形をしている。属
名は「地面」の意味で、放っておくと地面を這って行くことから。種名はホップ
の古いラテン語名から。
栽培
タネが売られているが、発芽日数が長い上に、発芽率も極端に悪いので、春先
に苗を買って育てた方がよい。涼しい日当たりと水はけのよい土地を好むが、寒
さには強く、強健な植物である。蔓がよく伸びるので、支柱を立てて誘導してや
る。さもないと手当たり次第他の植物などにからみついてなかなかはなすことが
出来なくなる。
利用法
最近東急ハンズなどで「手作りビールセット」などが売られ、またそのための
入門書や解説書も十種類以上出版されている。初めて作るならまずセットを買っ
てきて作るのが失敗が少なく無難であるが、凝ってきたら自前の材料を使うのも
楽しいと思う。雌花を乾燥したものを使う。なお、麦芽を作るための麦の種も、
ハーブ種子専門店で、大麦、小麦、からす麦、ライ麦が入手可能。
ケシ科ケシ属
Papaver sp. (Papaveraceae)
英名 poppy
ケシの仲間はヨーロッパから小アジアなどに原産しているが、薬用などの目
的で江戸以前から日本に栽培されている。越年性の一年草または夏に葉が枯れる
宿根性の多年草で、寒さには強いが、夏の高温多湿にやや弱い。草丈は50cmか
ら1bくらいで、葉は根生で、大根のような切れ込みがある。花は5月から6月
に咲き、赤・桃・白などがあり、大きくて美しい。
種類
オニゲシ Papaver orientale 英名 Oriental
poppy 多年草だが暑さに弱い。5月頃大き
な赤・桃・白で中心に大きな黒い目がある花径20cmほどの大輪花を咲かせる
。この種だけ栄養繁殖系の品種が秋に根株で発売される。ただし寒地以外は夏を
越すことが難しい。主に花壇材料用。種名は「東洋の」の意味で、中近東に原産
することから。
ケシ Papaver somniferum 別名 阿片ゲシ 英名 opium
poppy 麻薬(モルヒネ
)を取るために栽培されるので、日本国内では栽培禁止だが、英米などでは花壇
用に栽培され、いろいろな園芸品種が改良されて種子が売られている。麻薬にな
るのは白花種で、タイ・ラオス・ミャンマーの国境付近の通称「ゴールデントラ
イアングル」と呼ばれる無法地帯で、多く栽培されている。花は赤・白・紫・薄
紅などがあり、白に赤の縁取りのあるものや八重咲きのものなどがあり、ケシの
仲間ではもっともバラエティーが豊かで品種が多い。赤や紫の花が咲く品種は園
芸用の他に、種子をあんパンの飾りなどに、いわゆる「芥子粒」として使われる
。白花以外の品種からは、とても実用に使える麻薬はとれないそうだ。種名は「
眠気を催す」
アイスランド・ポピー Papaver nudicaule 英名 iceland
poppy
シベリアヒナゲシともいう。一年草でケシの仲間ではや
や小柄で、花は花径6cmくらい。ケシの仲間には珍しい黄色やオレンジ色、赤、
白などの花が咲き、花持ちがよく、切り花にもなる。種名は「茎に毛が生えてい
ない」。
ヒナゲシ Papaver rhoeas 英名 corn poppy, redweed,
field poppy 中国3代美人の一人と
いわれる虞美人の墓に生えたという伝説から、虞美人草という別名があり、夏
目漱石の小説の題名にもなっている。フランス語ではなんと「コックリコ」coquelico
といい、アルカロイドを含んでいるが、自由に栽培できる。一年草で、初夏に
紙細工のような一重または八重の花径10cmくらいの赤・ピンク・白の花を咲か
せる。昔は花を煎じて咳止めなどに使ったようだが、現在は主に花壇材料と名手
いる。開花期が短いので、あまり種子を売っているのを見かけなくなった。
ここからは、外国のカタログに載っている種を紹介する。
コムタートゥム Papaver commutatum
コーカサスから小アジアに分布している一年草。茎に毛
が生えて、花や葉は比較的小さい。花は赤で中心部に黒い大きな目があるが、白
い品種や、花弁に波を打っているものなどがある。種名は「変化した」。
ラリニアートゥム Papaver
laciniatum 草丈70cmくらいになる一年草。花は花径13cmほどで
いろいろな色があり、芯が大きい。「不規則に切れ込んだ」という種名のように
、花はオウムの羽のような切れ込みがある。花を観賞するほか、果実をドライフ
ラワーにして愉しむ。
ボタンゲシ Papaver paeoniflorum
種名は「牡丹の花のような」の意味。ケシの変種とさ
れることもある。花は非常に大きく、八重咲きで、赤、白、ピンクなどがあり、
実に見事である。(右の写真)
アルピヌム Papaver alpinum
これはたまに「たかねひなげし」の名前で国内でタネが売
られていることがある。アルプス原産の小柄な多年草で、草丈30cmくらい。葉
は全て混生の羽状複葉で、灰色を帯びている。花は赤、ピンクなどがあり花径3cm
くらい。
アノマルム Papaver anomalum
中国原産の、草丈40cmほどの多年草。葉は根生で羽状複
葉である。花は6月に咲き、花径4cmでオレンジ色のものが多いが、白の変種が
ある。
ブラクテアトゥム Papaver
bracteatum
イランから中近東にかけて分布する草丈1b以上になる
多年草。茎は直立し、花は花径20cm以上になる。種名は「苞葉のある」。
ピレナイクム Papaver pyrenaicum
種名の通りピレネー山脈に分布する草丈20cmほどの小
柄な多年草。花は花径3cmほどでたくさん咲き、タネとして販売されているdegenii
という品種は、ケシの中では珍しいクリーム色で、中心に濃い黄色の目がある
。花壇やロックガーデン用に栽培されている。
セントネリ Papaver sendtneri
ピレネー付近の高山地帯に分布している草丈10cmほど
の多年草。花も小さく白で、雄しべの黄色とのコントラストがよい。ロックガー
デン向き。
スピカートゥム Papaver spicatum
小アジア原産の多年草。草丈は70cmくらいになる。種名
は「穂状の」の意味だが、朱色の花が数輪まとまって咲く。
ルピフラグム Papaver rupifragum
スペイン原産の多年草で、草丈30cmくらい。花は花径
4cmくらいで、赤または橙色。種名は「岩の裂け目に生育する」。
栽培
こぼれ種で増えるくらいの丈夫な草花である。直根性なので、秋の彼岸頃に花
壇に40cm位の間隔に筋をつくり、直播きし、3ミリほど覆土しておく。発芽して
きたら25cm間隔に間引いてやる。土質はあまり選ばず、日当たりのよい土地な
らよくできる。
利用法
@ケシ・ヒナゲシの種は、芥子粒として、いろいろな食品の飾りや香味付けと
して使われている。特にあんパンのへそに使われているのは有名で、これは明治
時代に木村屋が発売して以来という。
Aケシといえば阿片というくらいで、紀元前4千円くらい前から麻薬または
鎮痛剤として知られていたといわれる。これはインドやその周辺で栽培されてい
る白花のケシP. somniferumの未熟な果実をそのまままたは精製したもので、ほ
かの色の花の咲く園芸種では品質のよいものはできない。一方ひなげしにも同様
な成分は含まれているという。歴史上有名なアヘン戦争は、英国が投じ植民地だ
ったインドで栽培したケシから精製した阿片を中国に売り込み、膨大な外貨を得
る一方で多数の中国人を廃人にし、歴史上の最悪の野蛮行為とされている。ケシ
の主要成分はモルフィネというアルカロイドで、そのほかにも20以上の成分を
含んでいるという。沈痛・催眠作用があるが、習慣性があるため、末期ガンなど
の患者をのぞき、大量に使用することができない。
B花の濃い紅色は色鮮やかであせにくいので、ポプリの色の元として使われて
いる。
C花の色が美しく大輪で、栽培が容易なので、家庭の花壇や農家の庭先など
によく植えられている。アイスランド・ポピーは切り花にも重宝する。
ホホバ科ホホバ属
Simmondsia chinensis
(Simmondsiaceae)
「中国産の」という種名が付いているが、アメリカ合衆国西南部からメキシ
コにかけての半砂漠地帯に原産する常緑低木で、樹高2mくらいになる。以前は柘
つげに近い仲間とされていたが、現在は1科1属1種である。幹は直立してよく
分枝し、葉は長さ4cmくらいの長楕円形で光沢があり、革質である。雌雄異株で
、花は春に咲き、花弁のない雄しべまたは雌しべだけの花を咲かせ、雄花は黄色
、雌花は淡緑色である。生育が遅く、株の雌雄はタネから3年以上たち、花が咲
かないとわからない。属名は1805年に死去した英国の植物学者シモンズにちなん
だもの。ホホバはJojobaと書き、原住民の言葉からメキシコでスペイン語として
取り入れられたものである。
栽培
暑さ・寒さにはかなりの環境に耐えるが、砂漠の原産なので多湿には弱い。
栽培には深く耕した後、砂利や砂などを大量に入れて排水をよくし、高畝にして
作る。タネは5月に播きく。輸入種子として出回っているが、国内で栽培されて
いるかどうかは不明。
利用法
A皮膚や髪の毛の乾燥を防ぎ、潤いを持たせる働きがある。また日焼けや皮膚
の不具合、疥癬(かいせん)などの皮膚病にも効果があると言われている。また
近年話題になっているアロマテラピーのマッサージ療法で、オイルの基材として
最も高品質なものとされている。
C北米・中米の乾燥地帯や中近東などで大量に栽培され、化粧品・シャンプー
・医薬品の基材として利用される他、革をなめして柔らかくしたり、またマッコ
ウクジラの油に代わる上質のマシンオイル、または潤滑油としても有用である。
乾燥に強いため、砂漠の緑化用の樹木としても注目されている。
ムラサキ科ルリチシャ属
Borago officinalis (Boraginaceae)
英名 borage 和名 ルリチシャ
ヨーロッパから北アフリカにかけて分布する一年草。英国南部にもある。草
丈60pくらい。よく分枝する。葉は卵形で、キュウリを思わせるさわやかなに
おいがある。花は夏に咲き、下を向いた5弁かで、明るいブルーだが、白い花の
も野もある。葯が黒く、花色とのコントラストが美しい。属名は古名から。種名
は「商売用の」つまり「店に売っている」という意味で、薬用植物にはよくある
種名である。
栽培
高温多湿にはやや弱いが、一年草でもこぼれ種で増えるほど生育旺盛な植物で
ある。日当たりと排水のよい、やや乾燥した土地を好む。10月始めか4月頃に
直播きし、発芽して本葉が出てきたら30p間隔になるように間引くとよい。梅
雨時になって葉が密生してきたら、収穫をかねて適当に枝や葉を間引いてやると
よい。またアブラムシがつきやすい。
利用法
@ 若い葉をサラダなどに入れて生で食べる。また花や葉を飲み水に浮かせて飲ん
でもいいし、また英国では、安い赤ワインにボリジの葉を入れて飲んでいるよう
だ。花の形がおもしろいので、花壇用の花としてもよい。また代表y的なエディ
ブルフラワーの一つである。
B花が完全に開かないうちにつみ取り、お皿に入れて陰干しにすると、ドライ
フラワーになり、ポプリなどに入れられる。